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育休明けに即転勤 「専業主婦がいる前提」を押し付ける日本企業の“因習”

2019年06月04日 公開

中野円佳(なかの・まどか:ジャーナリスト)

中野円佳(なかのまどか・ジャーナリスト)

<<「夫の育休から復帰2日後に転勤辞令」というツイートが注目を集めている。日本の会社の転勤制度は社員を幸せにしているのだろうか。

『「育休世代」のジレンマ』などの著者であり、シンガポール在住のジャーナリスト・中野円佳さんによる緊急寄稿。新刊『なぜ共働きも専業もしんどいのか 主婦がいないと回らない構造』の一部を基に、今回の一件の根幹にある日本企業の制度の問題を鋭く指摘する。>>
 

ツイートの「炎上」は日本式働き方の限界を象徴している

上場企業の男性社員が新居購入直後かつ第2子の育休復帰後に転勤を命じられ、転勤日の交渉もかなわず退職を選んだというツイートが話題になっています。

日本の「メンバーシップ型」と呼ばれる雇用システムは、主に男性の正社員に対して滅私奉公的な働き方を求め、「長時間労働や急な転勤にも応じる代わりに雇い続ける」という保障を与えてきました。その中で、同期の社員をある程度横並びにし、規範的に、本来使える権利(有休など)に対してもあまり行使しない、主張しないという同調圧力が形成されてきた側面があります。

今回の件は、様々な点でこうした雇用システムの前提がフィットしなくなっていることを示す事例と言えるのではないでしょうか。

まず男性が育休を取ることについて。いま政治の方面では男性育休義務化の話がでていますが、まだ実現していません。そのため現在は、女性が少なくとも産休は取らざるを得ないのに対して、男性の育休は「オプション」と見られがちです。そこに対し、上司、同僚、人事から規範的な圧力がかかったり、批判的な目線をあびせられたりしやすいのが現状でしょう。

そもそも育休は「休暇」ではなく、父親も育児のためのケア要員として家庭に必要だから取るわけです。父母が育休から復帰するということはその地域で保育園に入れたということ。その直後に転勤を命令するというのは、転勤先でまた保育園を探してこいというわけなのでしょうか。保活は時に1年がかりで復帰に備える手続きですが、転勤辞令を復帰後に出すというのはそのプロセスをまるで無視しています。

あるいは、そのような状況でも男性であれば引っ越し可能だろうとみるのは、妻が家事・育児を一人で担う「ワンオペ育児」をするか、妻のほうが仕事を辞めて転勤帯同するかを前提としているのでしょうか。ここには、父親へのパタハラだけではなく、女性への役割押し付けという強いジェンダーバイアスが働いていると言えそうです。

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転勤制度自体が「専業主婦の妻がいる」前提 >



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