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社会

機密情報が大拡散!? 「パスワード後送します」はなぜ“ダサく”なったのか?

沢渡あまね(業務改善・オフィスコミュニケーション改善士)

2019年07月16日 公開 2022年02月22日 更新

 

なぜ、「zipファイル+パスワード別送」がもはやイケていないのか?

これからの時代、紙のやりとりは極力なくし、どんどん電子に代替していかなければ、スピードで競合他社に負けます。ところが、その足を引っぱる残念な慣習があります。そう、「添付ファイルをzipに圧縮してパスワードをかけて、パスワードは別メールで送信」です。

「え、それ常識でしょ?」
「何がいけないの?」

そう思われる人もいらっしゃるかもしれません。情報セキュリティを考慮して、機密情報を含む添付ファイルには必ずパスワードを設定する──至極ごもっともに聞こえます。しかし、この慣習、送るほうも受け取るほうもただめんどくさいだけの「仕事ごっこ」かもしれません。

「zipファイル+パスワード別送」には、大きく4つのデメリットがあります。

(1)めんどくさい
ひかえめにいって、めんどくさい。送るほう、受け取るほう、双方に余計な手間をかけます。パスワードが届くまでの待ち時間も、相手の集中力を奪います。「デジタル失礼」といっても過言ではないでしょう。また、昨今の社会課題である「働き方改革」にも逆行しています。

(2)忘れる
「パスワードは別送します」
「あの、パスワードが届かないのですけれど……」
「すみません、忘れていました!」

このやりとり、筆者自身なんべんも経験しています。人は忘れる生き物です。それは仕方ないにしても、パスワードが届かずにアイドリングしている時間が無駄であり、機会損失です。

「金曜日の退勤間際に添付ファイルつきのメールを送って、パスワードを送付せずに帰宅してしまった」という場合、受け取った相手はモヤモヤしたまま、週末をすごさなければなりません。届くまでの間、相手の意識のリソースを奪う。精神衛生上、よろしくないですね。

(3)外出先から確認できない
zip圧縮され、かつパスワードが付与されたファイルは、スマートフォンなどのモバイルデバイスで開封~閲覧できない場合が多いです。出張や移動が多い人にとって、大きな足かせに。これまた「働き方改革」にも逆行しています。何より、スピードの足かせになります。

(4)届かない
添付ファイル付きのメールを受けつけなかったり、「迷惑フォルダ」に避ける運用をしている組織もあります。

「あなたは送ったつもりでも、相手は受け取っていない」

この行き違いとタイムロスは、コラボレーションのスピード、および相手との信頼関係の足を引っぱります。

日本の組織だけに蔓延した、「日本特有のガラパゴスルール」と指摘するセキュリティの専門家もいます。「zipファイル+パスワード別送」は、グローバル社会でのコラボレーションの足かせにもなっているのです!

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そもそも、セキュリティ対策としてイケているのか?

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