「老後2000万円」時代に青木雄二氏の言葉が身にしみる
2019年08月19日 公開 2019年08月20日 更新
(c)青木雄二
「老後資金2,000万円」「人生100年時代」などと自分のお金について不安を煽る言葉が飛び交う昨今。日本人はお金に悩みから逃れらない日常が当たり前になった。しかし、求めても簡単に大金が手元に集まることはない。
お金のリアリズムを追求し『ナニワ金融道』など名作を多数生み出した漫画家の青木雄二氏。誰もが「お金」に渇望してしまった今の社会を見たらどんな言葉を発するだろうか。この時代だからこそ青木氏の言葉を振り返りたい。
本稿では惜しまれつつも2003年に逝去した青木雄二氏の著書『ナニワ金融道 なんでもゼニ儲けや!』より、「ゼニ=お金」とどう向かうべきか説いた一節を紹介する。
※本稿は青木雄二著『ナニワ金融道 なんでもゼニ儲けや!』(インプレス刊)より一部抜粋・編集したものです
儲かっている人が「ゼニとどう付き合っているか」を研究しろ儲けるために30回以上転職した
今よりいい生活をしたい、とだれでも考えている。いい生活をするにはゼニがいる。だから、ゼニがもっとあればええのに、と思っている。けれども、ゼニはなかなか貯まらない。
なぜか。そら、なんにも努力しなかったら、ゼニは歩いてこない。ボクは、ゼニとの付き合い方で、ゼニの貯まり方は変わると思う。これを間違ったら、ゼニは頭の上を通り過ぎていくだけなのや。
うまくゼニ儲けをしているという話はよく聞くけれども、身近にうまくやっているやつはなかなか見あたらんやろ。いったい、どこのだれが儲けているのやろうか、と思う人は多いと思う。
儲けるためには「うまい話には乗らない」こと
ボクは、マンガで大儲けした。けれども、これは特殊な才能や。ふつうの人が、やろうと思ってもできるもんと違う。
ほんなら、世の中で儲かったというてる人間が、ゼニとどう付き合っているのか、ということを研究したらええ。マンガが売れる前、ボクは研究した。そのために、30回以上も転職をして、世の中の裏を見てきたようなもんや。
パチンコに至っては、その仕組みを探るために、パチンコ屋に就職してまで研究した。パチプロの師匠にもついて努力した。水商売の世界の裏も見てきた。そうして、しまいにはドストエフスキーの「罪と罰」を読んで、ボクにも人間の真実を、高利貸しの話を通じて描けると気づいた。
なにを描くのか。それは、人生で、ゼニがどういう役割をするか、人間が本当はどういう姿をしているかということや。
人間の欲がなにを生み出すか、それがわかったときに、ボクの頭の中に「ナニワ金融道」のアイデアが固まったのや。それと同時に、ゼニ儲けをしようと考えている人間たちに、ボクが研究してきた法則を伝えなあかんと思った。
だから、「ナニワ金融道」の話には、ゼニとどう付き合えばええのか、どういう人間がどうすれば最終的に儲かるのか、ということを描いたのや。
ゼニ儲けの第一の基本、それは、いかにヘタを打たんようにするかということだ。