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生き方

孤独なほうが、老後資金の心配もなくなる

松原惇子(老後を応援する団体SSSネットワーク代表理事)

2019年08月30日 公開 2022年05月25日 更新

 

ひとりであれば、他人の分まで稼がなくていい気楽さがある

高齢期を退屈に過ごすのは、あまりにも時間の無駄だ。その時間をお金を生む時間に変えるだけで、生きるエネルギーが満ちてくる。自分で自分を鼓舞しないで、誰がエンジンをかけてくれるというのか。

以前住んでいたマンションの管理人さん(当時70歳)は、いつも笑顔の絶えない素敵な人だったので、通るたびに話し込んでいた。彼がよく言っていたことで、忘れられないことがある。それは、管理人の仕事に感謝しているということだ。彼はよく働く。

朝のゴミ置き場の掃除から始まり、階段や廊下の掃除、粗大ゴミの管理など。仕事中に会うと、Tシャツが汗でびっしょりなことが多い。「大変ですね」と労を労うと「ジムに行かなくても、運動になるのでありがたいですよ。それにお金までいただけるのですから」と満面の笑顔を見せた。

元号が変わっても、厳しい時代は続きそうだ。年金もカットされ、保険料だけが増え、増税の嵐が吹き荒れる。もし体を鍛えたいなら、ジムで汗を流すのではなく、ジムの掃除のパートに切り替えて、働きながら運動するのはどうだろうか。

お金を払う立場からもらう立場に変えると、仕事終わりのビールが更においしくなるはずだ。

実は、自由業の身のわたしは、常にプラス5万円の収入を頭に置いて仕事をしている。ありがたいことに、まだ執筆の仕事をいただけるが、「来年はない」という気持ちでこれまで生きてきたので、たえず5万円の定期収入を得る企画を考えている。わたしは大の妄想狂なので、ひとり企画会議は最高に楽しい孤独な時間でもある。

何でも絵にする癖があるわたしは、アイデアが出るとA4用紙に描いて保存している。皆さまにお見せしたいほどだが、頭がおかしいと思われるからやめる。なぜなら、コロコロ変わるからだ。そのときは最高のアイデアだと思うのだが、翌日は取り下げ。その連続だからだ。

年金収入が減るのは誰にとっても悲しいこと。カメの中の水がちびちび減っていくだけの老後は切ないが、ちびちびでも水を補うことができれば、多少、心は平穏でいられる。 

ひとりの人の特典は、なんといっても、他人の分まで稼がなくていい点につきる。自分ひとり分だけでいいと思うと、なんでも挑戦できるのではないだろうか。

伴侶がいても、もちろん実践できる。お互いに自分の小遣い分を稼げばいいだけだからだ。

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