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「遊びながら働く」が生産性を高めるのに最適な理由

真野りえ(フリーアナウンサー/プロノイア・グループメディア担当)

2019年09月05日 公開 2019年09月05日 更新

 

日本人は、「好奇心」がない!?

今回のイベントで参加者の反応がいちばん良かったのが「好奇心」について。ピョートルによると、なんと、20歳の日本人の好奇心レベルは、65歳のスウェーデン人と同じだそうです。日本人は総じて好奇心が低いといえます。

好奇心とは人が成長するうえで欠かせない要素の一つです。好奇心をもって学び続ければ年齢に関係なく人は成長できることが脳科学の見地からも明らかにされています。これを「神経の可塑性」といいます。

「好奇心さえあれば、どんなものでも好きになれる」ともいえます。私の場合、「よくわからないジャンル」や「理解するのが難しいテーマ」を取材するときもあります。そこで、「大変そう」「ちょっと嫌だな」と思ったら取材はうまくいきません。そこで、どんなことでもいいので、取材対象に向けて興味を持つ、何か面白いことを見つけるようにしています。

「この地名の由来は?」「この人はなぜここでリアクションをとったのか?」「この発言にはどんな意図があるんだろう?」など、疑問に思ったことはどんどん相手にぶつける「なんで?どうして?星人」に変身します。

そうすることで、相手との距離が近づき、嬉しそうに教えてくれる人が多いことに気づきました。もちろん、失礼に当たらないように、事前に相手の経歴や過去の発言をリサーチすることは忘れません。

もう一つ、ピョートルが提案したのは、相手をより理解するために積極的に「雑談」を取り入れること。たとえば、会議の前にちょっとした雑談をすることで、緊張感がほぐれ、スムーズに本題に入れます。

また、雑談によって好奇心が刺激され、会議中もワクワクしながら相手の話に耳を傾けることができます。プロノイア・グループでも、「今日何食べた?」「昨日、海行ったんだよね」など他愛のない会話を楽しんだあとに会議をすると、新しいアイディアがどんどん飛び交います。

 

「働き方改革」から「生き方改革」へ

さて、そもそもどうして、楽しんで働くことが必要なのでしょうか。その理由として、ピョートルが挙げるのは、3つの社会背景です。

1.じつは働き方改革だけでは不十分
そもそも政府主導で進められてきた「働き方改革」は労働時間の削減が主な目的。長時間労働は改善されますが、「働くのが嫌」「仕事が面白くない」と仕事を苦痛に感じている時人が多いこと自体の解決にはなりません。まずはビジネスパーソンが、「仕事は楽しい」と感じ生き生きと働けるようにワークスタイルを変えることが先決です。

2.仕事がつまらないと思いながら生涯を終えたい?
「人生100年時代」これからは、働くことは生きることと重なり合ってきます。
「働く=暇つぶし・辛いこと」というマインドから脱出しましょう。

「18時から新橋でお酒を呑んでいるサラリーマン。仕事が終わってすぐに家に帰らないのは"帰ってくるの早すぎじゃない?"と奥さんに怒られるから。あるいは、近所の人に"イケてないな~"と思われるから。自分の仕事に誇りを持てたら好きになれたら、仕事後の過ごし方も変わりますよ」

とピョートルは述べました。

そして、これからは、「定年」という概念も無くなってきます。
ということは、元気なうちは働き続けること……。つまらないと感じる仕事、死ぬまで続ける覚悟はあるか、自問してみてください。

3.AIに仕事を奪われる?
これからは、定型業務を中心に、多くの仕事がAIによって自動化されていく、と言われています。これは言い換えると、「人間はもっと自由にやりたいことを仕事にできるサイン」ともいえます。人間にしかできないことって何か。これも、一人ひとりが考えなくてはいけないテーマです。

以上3点を踏まえた上で、ピョートルが提案するのが「生き方改革」です。

イベントでは、平原がピョートルとの出会いを話したシーンがありました。2人の出会いの始まりは、平原が学生時代にバイトしていたお店にピョートルが来店したときでした。

「あなたは、世の中にどんな価値をもたらしたい?どんな自己実現したい?」と何度も聞かれた平原。「大学の単位を取るのに大変なのに、なんでこんなこと聞いてくるのだろう」と疑問を抱いたそうです。ところが、ふと「単位の取得は、自分がしたいことではないんじゃないか」と思い至ります。

「世の中にどんな価値をもたらしたいのか?」と何度も繰り返し質問されたことで、自分の奥底にある「本心」に気づくことができたそうです。

この質問を掘り下げると、「あなたは何者で、仕事を通じて世界に何をもたらしたいのか?」「それによって、何を得たいのか?」ということ。

つまり、ピョートルは平原に「他人の人生に流されるな。他人の人生を生きるな」ということを伝えたかったのです。

「まずは、自分にしかできないこと、自分の"好き"を突き詰めていく。その後に自己開示を通して"好き"を他人に伝えることで、自分のために建設的な人間関係できる。すると、支援者やコミュ二ティが自然と形成されてくる」とピョートルは解説しました。

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