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サラリーマンが日本だけの「絶滅危惧種」となった”悲しき現実”

橘玲(たちばなあきら:作家)

2019年09月04日 公開 2024年12月16日 更新

サラリーマンが日本だけの「絶滅危惧種」となった”悲しき現実”

『言ってはいけない』 などのベストセラーを次々に世におくりだしてきた作家の橘玲さん。新著『人生は攻略できる』 (ポプラ社)では、人生というゲームを攻略していくための「ルールと鉄則」を、初めて、学生や若手社会人向けに書いたといいます。

人生100年時代を幸福に生きるために、私たちは知っておくべき攻略法はどのようなものなのでしょうか?(記事提供:本の要約サイト「flier」

 

昭和の成功法則は完全に過去のもの

── 橘さんが『人生は攻略できる』 で一番伝えたかったメッセージは何ですか。

人生100年時代といわれるいま、新卒でたまたま入った会社で定年まで勤めあげ、満額の退職金をもらって悠々自適という「昭和」の成功法則は、完全に過去のものとなりました。

それで多くの中高年が困惑しているのですが、そんなことにならないためにも、若い人たちに人生というロールプレイングゲームの「攻略法」を知っておいてもらいたい。どんな人生を送りたいのか(=ゴール)は人それぞれですが、幸福な人生を「設計」するための土台は同じです。

あと、私自身がドロップアウト組なので、どうすれば「幸福の土台」をつくることができるかの鉄則を知っていると、人生は少し生きやすくなる、そんなメッセージを伝えたいと思って執筆しました。

テクノロジーの急速な発展を背景に、高度化する知識社会では、仕事に必要なスキルのレベルが上がる一方です。しかしこれは、逆にいうと、幸福に生きる方法が多様化しているということでもあります。

「昭和」の時代では、学校に合わなくて高校を中退してしまえば、そのまま一生アンダークラスでした。でもいまは、「コミュ力はないけどプログラミングは大得意」という人がいて、ネット上のグローバルなプログラマー・コミュニティで評判になれば、グーグルのようなシリコンバレーの会社の目に留まって「いっしょにやらない?」と誘われるかもしれない。まったくの無名でもYouTuberとして活躍する道だってある。

仕事を辞めて海外を放浪するとか、大学に入り直すとか、これまで正規とされてきたレールを外れても、実力があれば認められる世の中になったともいえます。

 

幸福になるための「3つの資本」とは何か

── 20代の人たちがキャリアを築くうえでは、何を意識すればいいのでしょうか。

1つは、本書で紹介した3つの資本、「お金(金融資本)」「仕事(人的資本)」「愛情・友情(社会資本)」をすこしずつつくっていくことです。これらが幸福になるための土台になります。

人生100年時代を見据えるなら、最強の人生戦略は「長く働く、いっしょに働く」です。投資で金融資本を増やそうとしても、まとまった額の「元手」がなければ話になりません。

それに対して、働けば確実に収入を得られますから、労働市場に人的資本を投資するのは「損をしないギャンブル」みたいなものです。長く働けばそのぶん生涯収入は増えるし、2人で働けば世帯収入は1.5倍から2倍になる。欧米や日本のような豊かな社会では、これだけでほとんどの人が「経済的独立」を達成できるでしょう。

── 「長く働く」には転職も必要になると思いますが、そのときに大事なことは何ですか。

自分のキャリアを物語だと考えて、魅力的な物語を語れるようになることです。たとえば採用面接で、「これまでどんなことをしてきましたか?」と聞かれるとします。

相手が求めているのは、自分探しの話(私は何をやりたいか)ではなく、納得できる説明(私は何ができるか)です。なぜなら、人は理解できないものには不安を抱くから。これが個人のアカウンタビリティ(説明責任)です。

キラキラのキャリアが有利なのは、説明コストが低いからです。「一流大学を出て一流企業に入りました」といえば、聞いた人はすぐに納得できます。説明に必要な時間は5秒です。

それに対して履歴書に空白があると、それだけ説明コストが上がっていく。しかしこれは、いったんレールから外れると落ちこぼれるしかないということではありません。

高校や大学を中退していても、職歴が切れていても、相手が「そういうことなのか」と納得できる物語があれば、かえって高い評価を得られることもあります。

大事なのは、「いろいろやってきて、その結果、この生き方・働き方を選んだ」という魅力的なストーリーです。それさえあれば、ふつうと違うキャリアは、面白い素材(体験)をたくさんもっていると見なされるようになるでしょう。

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30代半ばまでに自分の専門を定めなければ間に合わない

著者紹介

フライヤー(flier)

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