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アップルCEOのティム・クックに「史上最高のCEO」の声も…ジョブズをも超えるその”能力”

リーアンダー・ケイニー(堤沙織 訳)

2019年09月14日 公開

 

クックは法と闘い、勝利する

クックにとって、顧客の個人情報を守ることは、アップルのアジェンダの中でも高い位置を占めるものである。彼がCEOになってから行われたソフトウェアのアップデートは、どれも個人情報の保護を強化するもので、広告主を含めた部外者に顧客の情報を渡さないことを保証するものだった。

2016年2月、クックのもとに判事からの令状が届けられた。これは前年に起きたテロの犯人が使用していたiPhoneを捜査するため、そのロックを解除する特別なソフトウェアを作るようアップルに命じるものだった。

しかしクックと彼のチームは、新たなiOSを作るのは非常に危険だと分かっていた。不適切な使い方をされたり、外部に漏れたりする可能性があり、そうなれば数億人のユーザーの安全が脅かされることになるのだ。

こうしてアップルはこの要請を拒否した。この決定は非常に大きな意味を持つものであり、企業の存続を左右すると言っても過言ではなかった。

クックたちが恐れた通り、メディアはこの決定を、テロリストに加担するものだとして猛烈に批判した。そこでクックは、アップルはテロを支援しているのではなく、ユーザーの個人情報を守っているのだとアピールする必要があった。

彼は政府が巨大な権力を持つことの危険性にも言及し、このようなソフトウェアを一度作ってしまえば、テロリストの捜査以外にも使われる可能性は大いにあると警鐘を鳴らした。

結果的にFBIがこの闘争から手を引いたため、アップルは勝利をおさめた。しかし、いつまた政府から同じような要請をされるかは分からず、トランプ政権下ではその可能性は大いにありそうだ。

 

多様性の受け入れは、道徳的にも商売的にも理にかなっている

2014年10月、クックは初めて自分がゲイであることを公に認めた。すでに同僚の間ではオープンにしていたが、この時初めて、世界に向けてカムアウトしたのだ。

クックはゲイに生まれたことで、マイノリティであることの意味を真に理解することができ、他のマイノリティグループに属する人々が日々直面している障壁に対しても、関心を持つことができるようになったと語った。

そして、世界的な大企業であるアップルのCEOがカムアウトすることで、世界中の苦しんでいる人々の助けになれれば良いと思い、これまで沈黙を貫いてきたプライバシーについて言及することを決めたと言う。

クックのセクシャリティは、平等と多様性に対する彼の姿勢に大きな影響を与えている。

社内の多様性を高めることは、それが道徳的に正しいというだけではなく、アップルの革新的なビジネスの手助けとなることをクックは信じている。様々な人種やジェンダー、国籍を持つ人々の多様な意見を取り入れることで、それまでは思いもよらなかった斬新な製品を生み出すことができるのだ。

クックはそれまで白人男性で占められていた上層部にも、女性や有色人種を採用するなど、着実に多様化への道のりを歩んでいる。

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ジョブズとは違った革新を目指す、クック率いるアップル

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