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売れた理由は、柳井正氏に叱られたから? GU成功の舞台裏

永井孝尚

2019年11月08日 公開 2022年06月22日 更新

 

SKIPの大失敗を糧に躍進したGU

そして数年後、柚木さんは大赤字だったGU事業の副社長を任された。

SKIPの大失敗から、柚木さんは「消費者にインパクトを与える商品が必要だ」と考え、990円ジーンズを投入。大ヒットさせてGUは黒字化し、息を吹き返した。

しかし、その成功も長くは続かなかった。1年経つと売上は前年を割り始めた。

そんな時、柚木さんはGU社長に指名される。ちょうどH&MやForever21などの強力な外資系ファストファッションが次々と日本に上陸している時期だった。

「廉価版ユニクロなんて誰も求めていない」と考えた柚木さんは、どういう商品があれば消費者は嬉しいかを考え抜いた。

女性社員に「どういう服が欲しいか?」と聞いて回ると、「日本人がデザインしているファストファッションって、ありそうでない」。

これがヒントになり、外部デザイナーに委託していたのを、自社デザイナーに切り替えた。その後GUは成長を続けている。

SKIPは、ファーストリテイリングの数多い失敗プロジェクトの1つに過ぎない。

1997年にはスポーツカジュアル「スポクロ」やファミリーカジュアル「ファミクロ」をオープンしたが1年以内で撤退。

2001年にはロンドンで海外1号店を出店したが、1年半で英国21店舗中16店舗を閉鎖。その後もユニクロは海外事業で試行錯誤を繰り返してきた。

「数え切れないほど失敗している」が口癖の柳井さんは、『一勝九敗』(新潮社)という著書も出している。ユニクロは数多くの失敗をしているが、失敗しても素早く見切って損切りしている。そして、失敗から確実に学んでいる。だから、ユニクロは成長しているのだ。

SKIPに挑戦した2002年に3000億円だった売上は、2018年には2兆円。実に7倍の成長だ。さらに失敗が続いた海外事業の売上は、いまや売上全体の50%を超えた。

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1勝9敗でもいい

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