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「働き方改革」を“丸投げ”されるマネジャー…サイボウズはどう変えたか(山田理)

山田理(サイボウズ株式会社取締役副社長 兼 サイボウズUS社長)

2019年11月08日 公開 2024年12月16日 更新

 

偉い人って一度で全部を伝えてくれない アレはなぜだったのか

経験がありませんか? 課長や部長に、情報を「小出し」にされたこと。
偉い人って、一度に全部を伝えてくれないですよね。「どうしてですか?」と聞いても、煙に巻かれたりすることもあります。

「あれってどういうことだったんだろう?」と、よくよく考えてみると、すべて情報を明かしてしまうと、「上司と部下が同じレベルになってしまう」からだったのです。

つまり、情報格差を意図的に生み出すことがとても重要だったのでしょう。

アホらしい、と思うかもしれません。

しかし、時代背景を思い出せば「もっともなことだったんだな」とも感じるのです。

わたしも昭和生まれの昭和育ちです。インターネットがない時代に社会人になりました。携帯電話はもちろんなく、外出先からの連絡手段は公衆電話のみです。電話機の上には10円玉が山積み。そこからテレホンカードになっただけで「便利になったもんやなぁ」と思っていました。

彼女と電話で話すには、自宅にかけ、お父さんの「だれや、お前」という大きな壁を突破しないと、話すことさえできません。

就職してから引っ越した独身寮には、食堂に1台しか電話がありませんでした。新人が順に電話番をやらされ、かかってきた電話をとり、館内放送でいちいち先輩を呼び出していました。

そんな時代、あるいはもっと前につくられた常識の中で生まれた組織が「会社」なのです。

情報を得るためにかなりのコストを要していた環境だからこそ、それを持っている人に権限があった。裏を返せば、情報格差こそが権威やお金を生み出す手段だった。

そんな時代だったのです。

 

インターネットは「組織の階層」を破壊した

しかし、インターネット以降の世界で、情報は根本的に安くなりました。
それはもう、バブル期の株価の下落なんて比べものにならない暴落です。ITの力で、情報格差はほぼフラットになりました。

あらゆる情報が、あっという間に世界中を飛び回ります。だれでも簡単に発信できるし、共有できます。上司も部下も、1秒で同じ情報にアクセスできてしまいます。

サイボウズが提供するグループウェアも、そんな世界を実現するために生まれたものです。

そうなると、「おれだけがこの情報を持っているんだぞ」という権威は機能しなくなってきます。必死に隠しているつもりでも「ダダ漏れ」です。

こんな状況で、意思決定やチーム管理を、これまで通りつまり「自分しか知らないから、おれが偉い」「そのおれが決めたんだから、つべこべ言わずにやれ」というやり方で続けるのは、とても大変なことです。

みんなもう、知ってしまっています。

年齢がほんの何歳か違うだけで、意思決定の能力はそう簡単に上がらないこと。同じ情報さえ与えられれば、若いメンバーでも同じ質の意思決定ができることを。

そしてさらに、自分の得意分野であれば、若いメンバーのほうがいいアイデアを出すことが普通に起こり得る、ということに。

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働き方改革でいちばん損しているのはマネジャーです

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