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生き方

浮気夫が突きつけた離婚…“前向きな”妻が取り違えた「現実」と「願望」

加藤諦三(早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員)

2019年11月14日 公開 2023年07月26日 更新

 

現実を受け入れてこそ、心は回復する

彼女は夫を失った悲しみを深く味わうことで再生できるのに、その悲哀を体験することを回避した。月なみな言葉で言えば対象喪失の悲哀の仕事を完遂しなかった。

「必ず帰って来る」という思い込みは、「帰ってきて欲しい」という彼女の心の願望を外化しているだけである。現実の夫を通して、自分の心の中の願望を見ているだけである。

彼女が見ているのは現実の夫の行動ではない。彼女が見ているのは夫を通した自分の願望である。つまり彼女は現実から幻想の世界に逃げ込んだだけである。

レジリエンスのある人は、事を成り行きに任せない。

現実を認めて、そのうえで心が回復する。

レジリエンスの条件は現実を受けいれることである。

現実否認はレジリエンスの否定である。

現実の不幸を受けいれない。

不幸を受けいれる人がレジリエンスのある人である。

逆境に強い人はレジリエンスのある人である。

【著者紹介】加藤諦三(かとう・たいぞう)
1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1973年以来、度々、ハーヴァード大学研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授、日本精神衛生学会顧問、ニッポン放送系列ラジオ番組「テレフォン人生相談」は半世紀ものあいだレギュラーパーソナリティを務める。

 

著者紹介

加藤諦三(かとう・たいぞう)

早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1973年以来、度々、ハーヴァード大学研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授、日本精神衛生学会顧問、ニッポン放送系列ラジオ番組「テレフォン人生相談」は半世紀ものあいだレギュラーパーソナリティを務める。

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