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不真面目な人ほど「実は勉強している」理由

飯野謙次(スタンフォード大学工学博士。東京大学特任研究員)

2019年12月05日 公開 2019年12月09日 更新

 

意欲を高める3つの方法

要するに、本当に勉強したいことのほとんどは、「勉強したい」と思うまでもなく行動に移している、ということです。「勉強したい」と思い、さらには「時間がない」と思っているとしたら、その学習対象に本当に興味・意欲を持っているかを、いったん見直してみたほうがいいでしょう。

しかしそうはいっても現実には、「勉強しなきゃいけない」「勉強したほうがいい」ことほど、何とか学ぶ意欲を奮い立たせなければいけないものですよね。

どうすれば、心の奥底では「あまり学びたくない」と思っている(かもしれない)ものを学ぶ意欲を持てるのでしょうか? 意欲を高める方法を、ここでは3つご紹介しましょう。

 

「誰に学ぶか」を最重要視する

まず1つめは、「人から直接教わる場合は、先生を吟味する」ことです。
学習意欲というのは、環境要因が大きな影響力を持ちます。学校における学習ならば、「先生は誰だったか?」。誰に教わったかで、意欲も、学びの深さも、習得スピードも面白いほど変わります。

私の専門は工学ですが、私が博士号を取るほどに工学に傾倒したのは、スタンフォード大学の名誉教授として今もご活躍されている、ダグラス・J・ワイルド先生のおかげです。

工学の修士号を取るための必須科目の1つに高等数学の一分野、線形代数があるのですが、実は私は、東大の教養学部生時代にその授業についていくことができず、すっかりお手上げ状態になっていました。

当時、「なるべくなら、一生、近づかずに生きていきたい」と思っていた線形代数を、ワイルド先生は、目の前の物理現象、人間の体の構造などと関連づけて説明してくれました。その面白さには感動さえ覚えるほどだったのです。

それで修士号の取得にとどまらず、博士号を取るほどに、私の学習意欲は高められた、というわけです。自分の潜在能力に関係なく、教えられ方によって、その課目を学習しようとする意欲が削がれてしまうというのは大変不幸なことですが、本当に起こります。

大人になれば、何かを学習する際に、どの先生から学ぶかを選べることが多くなるはずです。そのときには、学習内容だけでなく、先生についての印象も注意するようにしてください。

よい先生とめぐり合うと、それまで身につかなかったことでも、びっくりするくらいスムーズに理解できるようになるでしょう。

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