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視聴者のツイートまで予測!? 広告界を揺るがす「ニューロテクノロジーの衝撃」

茨木拓也(NTTデータ経営研究所ニューロイノベーションユニットアソシエイトパートナー)

2019年12月13日 公開 2019年12月13日 更新

 

モデル化した「仮想視聴者脳」がより効果的な広告案のヒントに

これまでの脳計測の使われ方は、広告出稿の前後で動画広告を定量的に分析・評価し、その投資の妥当性や今後のマーケティング戦略の改善を支援するもの=つまり「広告評価」にフォーカスされることが多かったようです。

もちろん、そのような評価は大変意義深いものですが、今後さらに重要になってくるのが、「次にどんな手を打つか」に関するプランニングの高精度化です。いかに着弾観測が精緻になろうと、狙ったところに届かせるために、広告のクリエイティブを修正するための技術がなければ最終的な成果に結びつきません。

そこで紹介したような脳の情報処理プロセスを仮想化するモデルをつくることで、一種の「仮想視聴者脳」を創り出し、その仮想脳に膨大なバリエーションのクリエイティブパターンを見せることで、目的とする行動をより効果的に起こせるような広告案を見つけることができるかもしれません。実際に、そのようなコンセプトで、私たちは通販会社のキューサイさんと実験をし、売上への効果を確認できました。

このように、脳計測をはじめとする脳科学関連技術が、マーケティングにおいては「評価技術」から、実際の製品や制作物の「改善・処方技術」として、直接的な貢献を期待されるようになってきています。この流れは、広告・動画コンテンツだけでなく、食品・自動車など幅広い産業分野においても起こるのではないかと思います。

なぜなら、創薬研究での相関の発見(ある疾患と相関する分子の特定)→因果の証明(分子を操作し、疾患の改善を観察することによる原因分子の特定)→治療薬の誕生(原因分子を操作する処方薬の作成)というプロセスと同じように、製品・広告の価値を高めるための処方技術が求められるからです。

そうした潮流が進んで、多くの製品開発者・クリエイターにとって、脳科学・ニューロテクノロジーが、自らの課題解決力・創造性を上げる有力かつ身近なツールになる日も遠くないでしょう。

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