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背筋も凍るホラー漫画なのに…戸川純が「死より生を感じる」作品

戸川純(女優/歌手),寺井広樹(⽂筆家/日野プロダクション代表)

2020年01月24日 公開 2024年12月16日 更新

戸川純
Photo By Iwah

ホラー漫画界の巨匠・日野日出志さんの50年に及ぶ漫画家活動を網羅した記念碑的著書「日野日出志全仕事」が昨年末発売されて話題を呼んでいる。

幻の怪作「あしたの地獄」など単行本未収録の作品4本や、ちばてつや、古谷三敏、みうらじゅんらのインタビュー、カラー原画コレクション、伊藤潤二や八名信夫との対談などを収録し、ファンならずとも必読の書となっている。

著者は日野プロダクション代表で文筆家の寺井広樹さん。寺井さんがインタビューをおこなう中で特に衝撃的だったと語る戸川純さんの貴重なインタビューをお届けしたい。(聞き手:寺井広樹)

 

音楽で日野作品を奏でるとしたら…

日野日出志

――日野作品にはどんな音楽が合うメージですか?

(戸川)日野先生の映像から受けるイメージは生音っぽいんですよ。打ち込みとかテクノとかデジタルな感じではなく、アナログな音のイメージ。日野作品に合わせるとしたならば、リズムがなく混沌とした感じの音楽がいいんじゃないかと思います。

――作画的には日野先生はどの漫画家先生よりもいち早くデジタルを取り入れられたのですが、やはりアナログな音の恐怖ですよね。

(戸川)非常階段さんなんかいいと思います。リズムが無いから。普通はドラムがいて、一定のリズムを刻むじゃないですか。

でも、リズムがあるとポップになるじゃないですか。日野作品も、決して前衛ではなくある意味ポップだと思うんですが、日野先生の映像にはリズムが無い方が合いますね。非常階段さんだとぐちゃぐちゃで、混沌としてますから。ノイズですね。

――なるほど。戸川さんも非常階段さんと『戸川階段』というユニットを組んでいらっしゃいましたよね。日野先生にも日野バンド組んでいただきたいなと思ってるんですよ。

個人的には戸川さんと日野先生のコラボを見たいです!ぜひ『戸川日出志』を結成していただきたいです。それで、日野フェスやりたいです!

(戸川)日野フェス(笑) 。

――ハードロックとかヘヴィメタの人にも日野作品は人気ですが、なぜだと思いますか?

(戸川)むこうのハードロックとかヘヴィメタって、地獄とか、髑髏とか、革ジャンの背中に、劔に蛇が巻き付いてる、みたいなイメージあるじゃないですか。

で、あれの日本版が日野先生なんじゃないでしょうか。日本のメタルの人とかにとって一番ヘルな感じを出してるのは日野先生だと思います。

――戸川さんの『赤い戦車』が日野ワールドにぴったりだと思うのですが。

(戸川)え、そうですか?それは意外です。テーマとしては、人生という戦場を血を流しながら、それでも戦車のように進んでいく、っていう歌なんです。だから、赤い戦車って血を流す戦車なんですよね。

――日野先生が「赤い戦車」を描かれるとしたらどんな絵になるのかも気になります。歌詞に「戦車」って出てこないですよね?

(戸川)歌詞の補足として、タイトルも歌詞の一つだっていう風に考えてますから。

――なるほどですね。赤色の血は死を連想させますが、同時に生の象徴でもありますね。

(戸川)日野作品には死よりも生を感じます。歌詞的には『赤い戦車』よりも『肉屋のように』のほうが日野作品に合うんじゃないかなあ。

――チェーンソーですか。ヘルな感じですね(笑)。

(戸川)そういえば、今ふと思ったんですけど、『少年A』という曲の歌詞で、「♪殺したい人の名前を書く キーンコーンカーンコーン」っていうのがあるんです。この「キーンコーンカーンコーン」は、学校の鐘の音で私が入れてくれって言ったんですけどね。

――うわ。こんな間近で戸川さんの生歌聞けるなんて感激です!

(戸川)これは思春期がテーマの曲なんですけど。いじめられて、復讐するみたいな。これなんか日野先生の影響あるかも、って今ふと思いましたね。

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『地獄変』の詩集の朗読を断った理由

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