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「がん」と「ブログ」に密接な関係!? 老年医療の専門医が示す"長生きの可能性"

大津秀一(早期緩和ケア大津秀一クリニック院長)

2020年02月07日 公開

 

がん患者が「書くこと」で症状が軽くなったという研究

実際、興味深い研究があります。

腎細胞がんの患者さんが、「自分の心の深奥と真摯に向き合って、表現豊かな執筆をした群」とそうではない群とに無作為に割り振られて研究が行われました。何と感情豊かに書いた群で、がん関連症状を軽減し、身体機能を改善したのです。(1)

そのような作業が、認知処理機能の向上にも働くことが指摘されています。感情に蓋をすることは良いことではありません。

定年後を見据えたいい大人である皆さんも、日々努めて感情をコントロールしているのではないでしょうか。けれども、そのような我慢は禁物かもしれません。

 

ストレスをためやすい性格だと、がんになりやすい?

150人以上のメラノーマ(悪性黒色腫)の患者さんを面接した心理学者らによる研究では、「タイプC」と呼ばれる次のような性格が、がんになりやすいそうです。

1.怒りを表出しない。過去においても現在においても、怒りの感情に気づかないことが多い。
2.他のネガティブな感情、すなわち不安、恐れ、悲しみも経験したり表出したりしない。
3.仕事や人付き合い、家族関係において、忍耐強く、控えめで、協力的で譲歩を厭わない。権威に対し従順である。
4.他人の要求を満たそうと気をつかいすぎ、自分の要求は十分に満たそうとしない。極端に自己犠牲的になることが多い。

(『がん性格 タイプC症候群』L・テモショック、H・ドレイア著、岩坂彰、本郷豊子訳(創元社)より引用)

なぜタイプCはがんになりやすいのか。このような分析があります。

タイプCは、人付き合いによって非常にストレスをためやすい面があります。他人に失礼なことを言われても、嫌な感情を口に出しません。自分より他人の意見を優先させ、いつも協調的に接します。

また、怒りやネガティブな感情を表出せず、それに気づかないこともあります。いつも雰囲気が良く、他人ともトラブルを起こすことは少ないのですが、素直な感情を心の奥で抑圧しているために、ストレスは確実にたまります。そそれが免疫防衛機能に影響し、がんのリスクを⾼めるとのことです。

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うつや絶望感があると、がんの再発につながりやすい?

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