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生き方

内向的な人と外交的な人…研究者が調査した「どちらが幸せになれるか?」

ダニエル・ネトル (著), 金森重樹 (監修), 山岡万里子 (訳)

2020年02月27日 公開 2023年01月11日 更新

ダニエル・ネトル

心の悩みの間に感じる喜びも多いかもしれない

さらに高度な調査になると、幸福も二つの構成要素に分けて設問します。
一つは消極的幸福をたずねる質問。

「自分を非常に不幸せだと思うときはどれぐらいありますか?」

もう一つは積極的幸福をたずねる質問。

「自分を非常に幸せだと思うときはどれぐらいありますか?」

これらは相互にかなり独立した傾向を持つもので、答えが両方とも「よくある」になる場合もあります。

簡単に想像がつくことですが、神経症的傾向は消極的幸福度の説明変数としてはかなり役立ちますが、逆に積極的幸福度を予測する際にはあまり役立ちません。

神経質評点が高い人であっても、心配や悩みの合間に多くの喜びを体験しているといえなくもないのです。

これらの調査結果は、神経症の人にとってはあまりうれしいものではないでしょう。不快や不満、ひいては不幸を感じる傾向があるというのですから。

芸術や政治の世界で創造性や指導力を発揮する人々は普通より神経症的傾向が高いことを、多くの研究結果が示しています。彼らの抱く不満こそが、価値ある分野で成功するための、いわば原動力となるのです。

ですから、多少神経質な傾向があっても、それをただちに弱点と見なさず、ある種の強みをも併せ持つ複合的な人格と捉えるべきです。

では一方、外向性と幸福は関係が強いかといえば、話はそう単純ではありません。

先ほど見たように、外向的な人は内向的な人に比べて、価値あるものを求める気持ちが強くあります。ところが、だからといって彼らのほうが幸せになるとは限りません。

むしろその逆かもしれないのです。多くのものを求めすぎて、かえって不満を抱えるということもあります。

 

幸福度を変えることは可能なのか

それでは人の幸不幸はどうあがいても動かせないのでしょうか。

パーティーやチョコレートやレジャーのおかげで数時間気分を高揚させることは可能だけれど、そんな快感もやがて色あせて元の気分に戻ってしまう。もっと大きな生活上の変化でさえ、いかに好ましく思えても、数週間、数カ月たつうちに慣れっこになってしまう。

性格という、おそらく一生ほとんど変わらない要因が基本的な幸福度を強く規定している。さらには脳の機能が幸福を直接支配しているということがわかってきました。

脳は非常に柔軟な器官で、周囲の状況に適した形でその化学反応を変えることができます。

脳に基盤があるからといって、心理的あるいは社会的方法で幸福度を変えることが本質的に無理だというわけではないのです。

人はそれぞれ性格によってふだん情緒的にどう反応するかがおのずと決まってしまうものですが、あえて何らかの介入を行えば、その反応の影響を最大限に抑えられます。そしてそれが大きな違いを生み出すのです。

幸福を感じるために、言いかえれば不幸せだという感情を持たなくするためにできることがあります。一つは「ネガティブ感情の影響を減らすこと」二つ目は「ポジティブ感情を増やすこと」そして最後は「目先を変えること」です。

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