御社のホームページ制作費、実は割高? “ネットの相場”にはびこる「情報格差」の実態
2020年03月25日 公開 2023年11月02日 更新
ホームページ制作、システム構築、SEOやリスティング広告の運用代行……。ネット業界ほど相場がわかりづらく、"適正価格"を「知っている人」と「知らない人」の格差が激しい業界はない。
そう語るのは、ネットビジネスのプロとして楽天市場で2年連続ショップ・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど数々の受賞歴を持つ、有限会社いろは代表取締役の竹内謙礼氏。
同氏によれば、ネット業界は日本に誕生してからまだ20年ほどのため、歴史ある他の業界に比べて確かな知識を持つ人の割合が圧倒的に少ない。
ホームページ戦略の全体像を把握してディレクションできる人材となると、東京都内ですら30人程度しかいないとも言われるという。いい業者と悪い業者の見極めが重要になるが、そもそもネットに詳しくなければ判断することも難しい。
本稿では、竹内氏の著書『ホームページの値段が「130万円」 と言われたんですが、これって相場でしょうか? ~ネットの価格はまだまだ下がる! 』より、ネットの相場がわかりにくい理由、その背景にある構造について書かれた一節を紹介する。
※本稿は竹内謙礼著『ホームページの値段が「130万円」 と言われたんですが、これって相場でしょうか? ~ネットの価格はまだまだ下がる! 』(技術評論社)より一部抜粋・編集したものです。
ネット業界で「情報格差」が生まれやすい理由
世の中、「知っている人」が安価に生活できて、「知らない人」のほうがお金のかかる生活を強いられることになる。たとえば、地元で安いスーパーを知っている人は、食材を安く購入して、食費を安く済ませることができる。
一方、土地勘のない人は、コンビニしか知らないので、高いお弁当ばかり買って食費が高くつく。安いガソリンスタンドを知っている人と知らない人、安い学習塾を知っている人と知らない人など、情報の格差によって、生活にかかるコストは大きく変わってくる。
ネット業界でも、この情報格差がある。ホームページの制作にくわしい人は、どのくらいの作業量と時間をかけて、どのような人に頼めば安く仕事がお願いできるのか熟知している。
つまり、ネット業界のことを「知っている人」であれば、限りなく安いコストで、最高の品質のホームページを制作することができる。
対して、ホームページの制作にくわしくない人は、作業量も制作時間もまったく見当がつかない。どのくらいのスキルが必要で、そのスキルを持っている人がどのくらいの報酬で仕事を受けてくれるのかわからないので、適正価格を導き出すことができない。
結局、ネット業界を「知らない人」は、ネット業界を「知っている人」にお願いをして、言い値でホームページを作るしか方法はないのである。
このように、ネット業界は「知っている人」が安く仕入れることができて、「知らない人」が高く買わされる構造になっている。なじみのないデジタルな世界で、目に見えにくい商品やサービスなので「原価」と「定価」のイメージがつきにくいかもしれない。
ネットに関わる仕事は「知っている人」と「知らない人」で入手できる価格が違うため、"人によって価格が違う"という現象が起こりやすいのである。
さらに問題を複雑化させているのは、ネット業界の「知っている人」が、玉石混淆の状態になっている点である。
ホームページ制作会社はもちろん、広告代理店やシステム会社、コンサルタント会社などの「私はネットにくわしいです」と自称する輩が、「知らない人」に言い寄ってくるのである。
「知らない人」はいい業者なのか悪い業者なのか見極めたいところだが、そもそもネットについて何も知らないために、判断することすらできない。
何をどう選べばいいのか定義できていないため、「知り合いの紹介だから」「いい人そうだから」と、ネットのスキルとはまったく無関係なところで相手の能力を判断してしまい、質の悪い業者をつかまされて、高い買い物を強いられてしまうのである。