「ホームページをリニューアルしよう」と言い出す社長を、絶対に止めるべき理由
2020年03月26日 公開 2023年11月02日 更新
リニューアルを決める前に確認すべき3つの条件
ホームページをリニューアルしていい条件は次の3点である。
①アクセス数を増やす施策がある
アクセス数が増えれば、新規顧客も増えて売上も伸びるので、すぐにリニューアルに投資したお金を回収することができる。しかし、ホームページが新しくなっただけでは、アクセス数を増やすことはできない。
新たな検索キーワードを選定して、SEOとリスティング広告を仕掛けなければいけないし、SNSやメルマガの施策も打たなければアクセス数を増やすことはできない。
②使い勝手をよくする施策がある
バナーの位置を変えたり、新着情報を目立つようにしたりして、ユーザーの導線をよくする施策である。このようなリニューアルは、ディレクターの腕にすべてがかかっている。
クライアントの言われたとおりにホームページを作り直すだけではなく、ビジネスモデルを精査して、実際に商品を使い、お客様の視点で物事を考えなければ、使い勝手のいいホームページを制作することはできない。
ディレクターがどこまで依頼主の会社に対して〝本気〟になって「使い勝手をよくしよう」と思っているのかもポイントである。
③イメージアップができる施策がある
リクルート目的や競合対策目的でホームページを作り直す施策である。ホームページが新しくなることによって、新卒や中途採用者が会社に対してよいイメージを持ってくれて、採用に貢献してくれるホームページになるのであれば、リニューアルの価値は十分にあったといえる。
ただしネットは常に比較され続ける媒体なので、競合の企業のほうがホームページのデザイン性や導線が優れている場合は、その競合会社よりも高いクオリティのホームページを作ることを目的にしたリニューアル策を講じなければいけない。リニューアル前に競合他社のホームページはすべて洗い出して、精査する必要がある。
リニューアルで結果を出すには最低「制作費150万+毎月100万」の投資が必要
上記の3つのうち、売上に直結するのは、①の「アクセス数を増やす施策がある」だけである。
つまり、ホームページへの集客問題を解決することが売上を伸ばすための必要条件であり、ここの部分を解決する手段がなければホームページをリニューアルする意味はまったくないということになってしまう。
ホームページに人を集める方法は、SEO、SNS、リスティング広告が主である。これらの販促をホームページに適切に対応させることが、ホームページを制作するうえでのディレクターの仕事となる。
リニューアルを一任されたディレクターは、各販促戦略に1人ずつ担当者をつけて、戦略からコンテンツ制作までの仕事を依頼する。そうなると、各販促戦略を構築するために1人月の仕事量にはなるので、SEO、SNS、リスティング広告だけでも3人月150万円の費用が発生することになる。
さらに、SEOもSNSもリスティング広告も、一度作ればいいというものではない。定期的に情報を発信し続けなくてはいけないため、毎月のランニングコストが発生することになる。
3つの販促ツールを回すのに、だいたい2人月100万円はかかると計算すれば、月に100万円ぐらいのランニングコストを見込まなければホームページのアクセス数を増やせないということになる。
つまり、売上に貢献するホームページにリニューアルするためには、最低でも制作費で150万円、毎月100万円のコストを投資しなければ、結果が出ないということになる。
これはあくまで社内でネットの知識がある人間が請け負った場合のコストであって、外注のホームページ制作会社に運用を委託するとなると、倍の制作費300万円、毎月のコストが200万円、さらにリスティング広告費に50~100万円の費用が発生することになる。
この金額を投資できないリニューアルは、ページを作り替えても売上に何も変化を与えないため、無駄な投資ということになる。
たとえば、50万円で制作したホームページを100万円でリニューアルしたとしても、おそらく50万円で制作したホームページと同じアクセス数、コンバージョンしか生み出さない。
また、300万円かけてホームページをリニューアルしたとしても、毎月200万円以上のコストを外注業者に支払うことができなければ、新しくしたホームページのアクセス数を増やせないということになる。
つまり、300万円のホームページを作ったとしても、毎月の適正価格のコストを投資しなければ、ネット経由の問い合わせや注文はリニューアル前とほとんど変わらないということになるのである。
「そこまでお金はかけたくはない。その半分ぐらいの予算でなんとかならないか」
そんな相談もよく受けるが、ネット販促は自分の都合に合わせて販促費が決められるものではない。常に競合他社が検索順位を奪い合う市場のため、少しでも販促費がライバルよりも少なくなってしまうと、お客様が根こそぎ持っていかれてしまう。
また、1人月50万円というネット業界の人件費の相場を考えると、それを半分にするということは、「手間と時間を半分にする」か「人としての能力を半分にする」ということになるので、1人月50万円を投資できる企業に勝てなくなってしまう。
ホームページを本気でリニューアルして、本気でネットを経由した売上を伸ばしたいと思っているのであれば、制作費に300万円以上かけて、運営費に毎月200万円の投資が必要となる。
この予算を持ち合わせていないリニューアルは、経営者の気分を変える程度の効果しかないと思ったほうがいい。たとえるのなら、部屋の模様替えやオフィスの引っ越しのようなものである。気分が変わっただけで、リニューアルの効果はほとんどないと考えたほうがいい。
このように売上を大きく変えるようなホームページのリニューアルには、大きな投資が必要である。この事実を知っておけば、思いつきや気分でホームページをリニューアルするような中途半端な投資はなくなり、もっと現実的なことに投資をして売上を作るアクションが企業として取れるようになるのである。