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「自分の年金」は「自分で守る」しかない…年金を少しでも増やすための方法

篠原充彦(篠原FP事務所代表)

2020年04月02日 公開 2022年05月25日 更新

年金の受給額は「増やせる」

さらに、もらえる年金が増える方法をお教えします! それは、「年金の繰下げ受給制度」です。

どういう制度かというと、年金受給開始を65歳ではなく、もっと遅らせてもいいという方は、最大70歳まで遅らせることができます。これを「繰下げ受給」といいます。

遅く受け取る分、今度は1ヶ月ごとに0.7%ずつ受給できる額が増えていきます。70歳の場合、5年間遅く受け取るので、なんと、142%増えるのです。60歳から受け取るのと比べたら倍以上違ってきます。

例えば、65歳から受け取る年金が10万円としたら、60歳から受け取る場合、30%カットで7万円。70歳から受け取る場合、42%増額で14万2千円。70歳からの繰下げ受給の場合の損益分岐点は、繰り下げた歳から11年後の81歳以上から、得ということになります。

毎月0.7%増額してくれる、これは年間にすると年利8.4%増える計算になります。年利8.4%の金融商品はそうそうないので、この繰下げ受給を選ばない手はありません。

冒頭からしつこいようにお伝えしていますように、人生100年時代です。仮に「いや、そんな生きんでえーわ。私もう長生きしたないねん」と言っていても人間は生きます。

私がFPとして独立した頃は、60歳で退職して、60歳から65歳の無年金時代のライフプラン相談が主流でした。でも今は違います。人生100年として、ご相談に来られる方がほとんどです。

であればしたら、初めから長期のライフプランを計画・実行しておくのがベストです。私自身、年金はそもそもアテにしていません。年金に頼らないようなライフプランを30歳の時から実行してきました。なので、年金はもらえるか、もらえないかというよりは、年金もらえたらラッキーという考えで動いてきました。

今までのように、「教育、仕事、老後」という3ステージではなく、「教育、仕事、再雇用、老後」と4ステージで考える必要があります。それと同時に、60歳から70歳まで生きぬくライフプランを立てつことが必須になってきます。

特に40歳以下の若いうちから、いかにイメージしてプランを立てておくかが重要です。

例えば、

・65歳まで働いて、退職金と蓄えた貯金で70歳まで乗り切る
・副業解禁になってきている今、60歳以降も続けられる副業を意識しながら、週末や就業後の時間に資格取得、人脈作り、経験を積む等)の時間にあてる。
・iDeCoやつみたてNISAで、コツコツ投資で60歳からのお金を育てる
・夫婦の場合、平均寿命が長い奥さんの基礎年金を繰下げ受給する

などの対策が必要です。

年金は、一生受給できる収入源です。年金を増やすためには、自助努力で早めの老後準備、資産形成が大切です。

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