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株価が不安な今こそ考えたい…FPが本音で教える「投資信託のコスパ」

篠原充彦(篠原FP事務所代表)

2020年04月03日 公開 2022年05月25日 更新

 

インデックス運用とアクティブ運用、考えておきたい手数料の差

では、どちらのほうが「コスパ」が高いと言えるでしょうか? ズバリ、インデックス運用です。理由は、インデックス運用の方が、圧倒的にコスト(手数料)が低いからです。

インデックス運用もアクティブ運用も投資信託なので、信託報酬という手数料がかかります。これは、運用が良い時も悪い時も運用成果に関係なく必ずかかる手数料です。

先ほどのお笑いの例では、インデックス寄席とアクティブ寄席では、アクティブ寄席の方が、労力がかかる分、コストもかかります。

この場合の主催者のことを、投資信託でいうと、ファンドマネージャーと呼びますが、インデックス運用は、指標にする日経平均に合わせるように銘柄を組み入れていくだけなので、ファンドマネージャーにはあまり労力がかかりません。

一方のアクティブ運用は、指標を上回るのがことを目標としているので、日々マーケットを睨みながら分析チームを組みさまざまな会社を研究・選定し、ファンドを組み入れていくので、ファンドマネージャーにかかるコストは高くなるということです。

だからといって、「アクティブファンドはダメだ!」と言っているのではありません。アクティブファンドの中にも市場平均を大きく上回る運用成績を出してきたファンドもあるのは事実です。

ただ、私は長期運用を前提とした資産運用を提言しています。投資信託を選ぶ際に、いくら営業得でハイリターンの話をされても、利回り(リターン)は操作できず不確実なものです。

ただし、手数料(コスト)は自分の選択次第で抑えることができます。

 

手数料1%がどれくらいのコスト差になるか

では信託報酬(手数料)が仮に1%違う場合でどれくらい変わるのでしょうか?

10年間毎月3万円を積立投資した場合
積立額:3万円
積立期間:10年間
期待リターン:5%
発生するコスト
インデックス型の信託報酬0.5%の場合:12万円
アクティブ型の信託報酬1.5%の場合:36万円

10年間で24万円のコストの差が出ました。

では、20年間の場合はどうでしょう?

20年間毎月3万円を積立投資した場合
積立額:3万円
積立期間:20年間
期待リターン:5%
発生するコスト
インデックス型の信託報酬0.5%の場合:69万円
アクティブ型の信託報酬1.5%の場合:192万円

20年間で123万円のコストの差が出ました。

最後は、30年間でみてみましょう。

30年間毎月3万円をつみたて投資した場合
積立額:3万円
積立期間:30年間
期待リターン:5%
発生するコスト
インデックス型の信託報酬0.5%の場合:219万円
アクティブ型の信託報酬1.5%の場合:591万円

30年で見た場合、なんと372万円のコストの差になりました。

信託報酬の差はたかが1%と言えども、長期投資ではボディーブローのように効いてきます。長期になればなるほど収益の差は開きやすくなります。

こういう点も、アクティブファンドがインデックスファンドに運用成績でなかなか勝てない理由です。

日本だけではなく、実際、世界的に見ても、約80%のアクティブファンドは、インデックスファンドに負けています。ファンドの運用実績においてコスト(信託報酬)は、確定したマイナスリターンであるからです。

長期投資の場合、特に初心者の方は、運用コストの低いインデックス運用をお勧めします。とにかく、投資信託を選択する時は、信託報酬をチェックすることが重要です。

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