「部下が怠ける」という主張のウソ
自宅や旅先にいながらにして、パソコンやモバイルデバイスで仕事をする働き方──それがテレワーク。総務省は、テレワークを「ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義しています。ここでは、在宅勤務に絞ってテレワークをとらえてみたいと思います。
テレワークの話をすると、必ずこんな反発の声があがります。
「部下が怠けるかもしれない」
「コミュニケーションが悪くなりそう」
ちょっと、ちょっと待った!
なにも、まったく顔を合わせない状態で働けと言っているわけではありません。週のうち何日か、月のうち何日かテレワークというスタイルが一般的ですし、そうでなくてもうまくコミュニケーションをするやり方はあります。
……と、その前にテレワークへの誤解を解いていきましょう。
【シーン3 だって、浮気するかもしれないじゃない!】
男「あ、俺ちょっと図書館寄ってくわ。じっくり読みたい本があるんだよね。じゃ、また」
女「それなら、借りてきてウチでいっしょに読みなよ」
男「ううん。図書館のほうが落ち着いてゆっくり読めるんだよね」
女「わかった、そんなこといって、ほかの女の子をナンパするんでしょ! 目を離すと、なにするかわかんないんだから……」
男「(俺、そんなに信用されてないんかね。とほほ)」
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【シーン3 だって、浮気するかもしれないじゃない!〈職場編〉】
部下「あ、明日は在宅勤務にさせてください。娘が熱を出したみたいで、面倒みながら仕 事したいんです」
上司「はぁ、在宅勤務? うちの部署はダメ」
部下「ええ? なぜでしょう。前の部署ではOKでしたけど……」
上司「だって、さぼるかもしれないでしょ。離れている部下の管理なんてできないし」
部下「(僕、そんなに信用されていないんですか。とほほ)」
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「部下が仕事しているかどうかわからないじゃない。怠けるかもしれないからダメ」
テレワークを拒絶する管理職の代表的な意見がこれ。聞いていて、「あなたの職場はそんなにも信頼関係がないんですか?」と悲しくもあり、管理職の資質を疑いたくもなりますが、こんな声は少なくありません。
これ、ダウト! ズバリ言います。
「会社に来ていたって、サボるヤツはサボる」。
コソコソ(あるいは堂々と?)とネットサーフィンをやっている人もいれば、一生懸命仕事しているフリをしている人もいる。離席が多く、タバコ部屋に入り浸っている人の姿も。ある程度の規模の組織であれば、「宿命」みたいなもの。「テレワークだからサボる」という決め付けは、早計すぎやしませんか?