1. PHPオンライン
  2. マネー
  3. ウィズ・コロナで予測される「伸びる業界」と「沈む業界」

マネー

ウィズ・コロナで予測される「伸びる業界」と「沈む業界」

竹内謙礼(有限会社いろは代表取締役)

2020年06月26日 公開 2024年12月16日 更新

ウィズ・コロナで予測される「伸びる業界」と「沈む業界」

多くの人が「巣ごもり期間」を経験したことで、消費のかたちは根本的に変わりはじめている。段階的に解禁が進みつつある中、今後はこれからの消費スタイルがいよいよが目に見えて表れるようになってくる。

そう語るのは、ネットビジネスのプロとして楽天市場で2年連続ショップ・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど数々の受賞歴を持つ、有限会社いろは代表取締役の竹内謙礼氏。

本稿では竹内氏の新著『巣ごもり消費マーケティング~「家から出ない人」に買ってもらう100の販促ワザ 』より、シニア市場から屋外レジャー市場、さらには恋愛ビジネスに至るまで、さまざまな業界が直面する今後のトレンドについて解説した一節を紹介する。

※本稿は竹内謙礼著『巣ごもり消費マーケティング~「家から出ない人」に買ってもらう100の販促ワザ 』(技術評論社)より一部抜粋・編集したものです。

 

加速するネット関連サービス、縮むシニア市場

非対面を余儀なくされる巣ごもり消費において、活況となるのはやはりIT関連のサービスになる。ネットを使ったサービスやネット通販は、今まで以上に需要が高まる。

また、大容量が必要とされる高度なオンラインゲームやVR(バーチャル・リアリティ)の事業は、5Gの普及で、巣ごもり消費の拡大とともに、需要を伸ばしていくことが予想される。

一方、消費の動きが厳しくなるのがシニア市場である。旅行や体験教室、介護やスポーツジムなど、シニア層によって支えられてきたビジネスは、一時的ではあるものの減速する可能性が高い。

人と人との接触によってコミュニティを作り、信頼関係で商売が成立していたシニアマーケットは、感染を回避した非対面のサービスにシフトしていかなければ、生き残りが厳しくなる。今までオンラインやVRとは無縁の市場だったが、今後は非対面のITツールを生かしたサービスが注目を集めていくかもしれない。

また、地方の店舗や商店街も、高齢者の消費によって支えられてきたところがあるので、巣ごもりでシニア層の消費が鈍くなると、売上への打撃はさらに大きくなると思われる。

感染のリスクが世の中に残り続ける限り、高齢者を店に集客することは難しく、長期化すると地方都市の疲弊にもつながりかねない。非対面を条件にして、宅配、出張などのサービスを早い段階で強化して、シニア層の顧客とのつながりをキープするために、情報発信をマメにおこなうことが必要となる。

年代別でいえば、60代のアクティブシニア層はネットのリテラシーも高いので、動画やSNSを駆使してコミュニケーションを取れば、囲い込みが可能となる。一方、70~80代は、ダイレクトメールやお手紙などのアナログの情報伝達によって、店に対しての帰属意識を持ってもらうことが必要となる。

シニア層の動きが鈍くなることは、新規顧客の獲得が弱くなってしまうことにつながるが、反面、競合他社へシニア客が流出する機会が減ることにもなる。囲い込むための企画やコンテンツ作りをしっかりおこなえば、今後は安定した売上を確保できるようになるかもしれない。

なお、この年齢層の顧客は、今まで以上に運動不足や健康を気にするようになるので、シニア層向けのヘルス市場はよりいっそう盛り上がることが予想される。

 

「インスタ映え」の販促効果も鈍くなる?

インスタ映えのトレンドにも陰りが見えてくるかもしれない。外出することを控え始めて、ファッションへの興味が薄らいでいけば、Instagramで写真を撮って他人と情報を共有し合う必要性がなくなってしまう。

また、自分の私生活の充実ぶりをInstagramを通じて自慢しようと思っても、そのような情報をアップすること自体が不謹慎なムードになり、SNSの利用価値が薄らいでいくことも考えられる。

景気低迷が長期化して、国民全員の所得が下がり、自宅で過ごす機会が増えるようになれば、多くの人が似たような生活スタイルになり、あえて他人と差別化するようなことがなくなってしまう。そうなれば、なおさらInstagramにアップする写真はなくなり、利用する価値がなくなっていく。

自粛ムードが続けば、Instagram離れが加速して、収束後には別のSNSが誕生し、新たなトレンドが生まれているかもしれない。

5Gの普及にあわせて、バーチャルな世界に人が集まるようになり、アバターによるライフスタイルに付加価値を求めるような、近未来的な世界が待ち受けていることも考えられる。

次のページ
テレワークは地方都市での利用者はまだまだ少ない

関連記事

アクセスランキングRanking

前のスライド 次のスライド
×