前田慶次の心を動かした、大河ドラマ『利家とまつ』の魅力
2020年07月07日 公開 2022年06月30日 更新
利家の生涯を表す歌「死のうは一定」
利家が舞を踊る時には「死のうは一定」と歌う。これは信長も好んだ歌であり、信長について語った『信長公記』にも登場する。この歌は「人は必ず死ぬ。故に自分は何をしようか。後世の人はそれを思い出して語ってくれるじゃろう」といった内容。
『利家とまつ』では第1話の利家が若き頃、派手にかぶいていた時からこの歌を詠んでいて、前田利家という人間を示す歌でもある。この大河ドラマでは前田利家は人生を全うしきった男として描かれた。
実際の利家の生涯は、天下人を支え、御家を守り、天下を安寧に導いた、乱世という一時代に確実に足跡を残した偉大な武将である。ドラマ終盤、利家とまつ姫が時をかけて果てていく場面は、涙溢れる名場面であった。
『利家とまつ』で描かれた信長像
『利家とまつ』では、人間味溢れる信長が描かれていた。このドラマ辺りから、世間の信長像といったものが変化していった。家臣利家に対して、膝をつき礼を申す信長。
「今まで人間を信じたことはない。いや、信じたいといつも思ってる。だが、血と裏切りの日ばかりで信じることはできぬ。しかし、貴様だけは信ずる」この台詞を聞くと、『麒麟がくる』でも心情的に重なるところがあるわな。信長は孤独な人間であったことを示すようじゃ。
今、皆が想像する信長像にも、反町信長が大きく影響しておる事は間違いと儂は感じたぞ。