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リモートでは通用しない?「個人技に頼る営業」を今すぐやめるべき理由

藤本篤志(グランド・デザインズ代表取締役)

2020年07月27日 公開 2020年07月28日 更新

 

営業に必要な7つの知識

まずは「知識」です。知識の役割は、商談を円滑かつ正確に進捗させることにあります。お客様の疑問点、質問に、的確な知識で対応しなければなりません。

ところが、営業マンの知識レベルは、満点を10とすると、平均2ぐらいと低いものです。私のこの評価に厳しすぎると思われる方も多いと思いますが、知識とひと言でいっても、営業マンの覚えている知識は、その大半が自社商材の知識にすぎません。それでは、まったく足りないのです。

知識を構成する要素は、最低でも次の7つが必要です。

(1)自社商材知識
(2)他社商材知識
(3)業界市場知識
(4)商材関連知識
(5)関連法律知識
(6)関連学術知識
(7)教養雑学知識

このうち、「商材関連知識」「関連法律知識」「関連学術知識」「教養雑学知識」は、多少説明が必要だと思います。

・商材関連知識
たとえば、パソコンを販売している営業マンだとすると、その商談の中で、そのパソコンを使ったネットワークの話も必要に応じて出てくることが多いと思います。その時に、「パソコン以外のことはわからない」という知識レベルでは、話のつながらない営業担当と判断され、お客様は重宝しません。

したがって、Wi-FiやLANといったネットワーク関連の知識も仕入れておかなければなりません。このような知識を「商材関連知識」といいます。

・関連法律知識
自社の商材を売る時に、知識として持っておかなければならない法律知識のことを指します。たとえば、不動産販売を主とする営業マンであれば、宅建法、建築法、関連民法、相続税法、そして土地活用に関する地域条例などの知識を駆使できなければ、安定した商談はできません。

・関連学術知識
自社の商材を扱うにあたり、専門的な対応ができる学術知識のことを指します。たとえば、顧客管理ソフトのメーカー営業であれば、そのソフトを使ってどのような分析ができるのかを説明するために、マーケティングミックスの4Pや4Cといった学術知識を専門的に駆使できれば、お客様の信頼度も高まります。

・教養雑学知識
文字どおりの意味ですが、「なぜ必要なの?」と思う人もいると思います。

「世間話は、営業にとって必要か不要か」という永遠の議論がありますが、答えは「絶対に必要」です。なぜなら、商談とは、人間同士のコミュニケーションで成立するからです。

仕事のやりとりばかりだとギスギスしてしまうことがあります。お客様がなかなか本音を言わない場合、変化球の意味あいで「世間話をしながらシグナルを探る」という高等技術も、時に必要です。

また、単純に、なかなか心を開いていただけないお客様の心を開かせるきっかけになるのが趣味や出身地の話題というのは、オーソドックスですが、よくある突破口です。

 

営業ノウハウは再現性のあるものだけを吟味する

次は「ノウハウ」です。ノウハウとは、知っていることでミスを防げたり、商談を有利に進捗させたりできる〝知恵〟です。

ノウハウには、たしかなものから、あやふやなものまで玉石混交ですが、その有効性は「風雪に揉まれてきたかどうか?」という視点で吟味すべきです。

つまり、過去にいろいろな局面で使われ、一定の確率で役立った形跡があるものが、たしかなノウハウだといえます。1回ヒットしただけのノウハウは、たしかなノウハウとはいえません。

また、「昔は通用しても、いまは通用しない」ノウハウもあるので、定期的に吟味する姿勢が必要です。

ノウハウは、知識や技術と違い、取り扱う商材や業種業態によって千差万別です。また、その数も百単位で存在します。したがって、ここで網羅的にカテゴライズすることはできませんが、イメージがつきやすいように、わかりやすいものを何点かラインナップしてみます。

・個人宅飛び込み訪問におけるピンポンノウハウ
・営業移動時間を短縮するノウハウ
・商談中に次アポを入れやすくするノウハウ
・リスト電話アポ率向上ノウハウ
・提案書の訴求力をアップさせるノウハウ

などなど

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