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「得意先とのつながり」だけで威張る営業マンを放置してはいけない理由

藤本篤志(グランド・デザインズ代表取締役)

2020年07月21日 公開 2022年03月04日 更新

「得意先とのつながり」だけで威張る営業マンを放置してはいけない理由

テレワークの普及が進み、対面での打ち合わせも自粛が続いたことで、多くの企業が営業スタイルの変革を迫られている。顧客との関係の築き方にも変化が起きる中、営業マンたちの本当の実力があぶり出されてきている。

先行き不透明なビジネス環境において、特に存在意義が問われてくるのが「大口の得意先とのつながり」を理由に威張ってきた人たち。見た目の数字は上がっているため一見すると優秀に見えるものの、実は営業マンとしての実力は「平均以下」というケースも少なくない。

放置すると、地道に新規開拓を続ける社員の間では不満が募り、気づいた頃には本当に優秀なメンバーが会社を去っていることも。そう語るのは、累計17万部を突破した『御社の営業がダメな理由』(新潮新書)をはじめ多数の著作で知られる、株式会社グランド・デザインズ代表取締役の藤本篤志氏。

本稿では、藤本氏の新著『営業の問題地図 ~「で、どこから変える?」いつまで経っても成長しない営業マンと営業チーム』より、営業結果とは必ずしも比例しない、その人の本当の「営業能力」を評価する方法について解説した一節を紹介する。

※本稿は藤本篤志著『営業の問題地図 ~「で、どこから変える?」いつまで経っても成長しない営業マンと営業チーム』(技術評論社)より一部抜粋・編集したものです。

 

社長室での幹部の会話

社長「各営業チームのトップ成績の営業マンたち5名を集めて、鳴り物入りでスタートした新商品販売チーム、まったく期待外れだな。どういうことなんだ!」

営業本部長「社長、スタートしてまだ3ヶ月です。彼らは優秀なので、そろそろ本領発揮する頃です」

商品開発部長「本当に優秀なんですか?」

営業本部長「各営業部から成績トップの営業マンたちを集めたんだから、優秀に決まってるだろ!」

商品開発部長「成績はたしかに優秀ですが、営業能力は平均以下ではないかという噂が、私の耳に複数入ってきているんですが……」

営業本部長「だれが、そんなことを言っているんだね!」

商品開発部長「だれが言っているのかは重要ではありません。なぜこんなに売れないのか疑問に思い、社内調査したところ、彼らはみな大口の得意先担当。ここ5年ぐらいは、それほど努力せずに成績をあげているだけで、高評価ほど働いておらず、すでに営業能力が錆びついてしまっている、という分析になりました」

 

問題に気づいた時は「時すでに遅し」

このおそろしい話も、けっして対岸の火事ではありません。

営業マンの心の中は、こんな感じです。

「大口顧客を担当しているだけで成績がよくなって、評価をもらえるなんて、不公平だ。私は、こんなにがんばって小口顧客を増やしているのに……」

「打ち出の小槌のようなリピート顧客を担当している先輩が、能力もないのにいばっているのは、ホント許せない。しかも、外に出たらサボってるという噂も絶えないし……」

営業マンの不満が爆発寸前になるのは当然のことです。打ち出の小槌という言葉に総称される〝ラクに稼げる〟成績と〝努力して積み上げる〟成績が、同じ土俵で評価されるわけですから。

このことは、会社が好調な時はあまり大きな問題になりません。上層部からすると、成績の悪い人の負け犬の遠吠えにすら聞こえている場合も少なくありません。

しかし、ようやくこの問題に気づいた時は「時すでに遅し」なのです。たとえば、冒頭の会話にあったような新商品に社運を託す時、または強烈なライバル会社が業界に参入してきた時に、本当の実力者が会社をすでに去っていたり、だれが本当に営業能力が高いのかすらわからないので、強いチームが編成できなかったりするのです。

ではなぜ、このような不幸が生じるのでしょうか?

その答えは、かんたんです。営業結果と営業能力は、けっしてリンクするものではないにもかかわらず、営業結果のみで能力を評価しているからです。いわば、大半の営業部は、本当の営業能力を評価するしくみがないのです。

営業能力を正しく評価できないという問題を生み出す3つの原因を洗い出してみましょう。

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「自力案件」と「会社案件」を区別していない

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