「本を大量に読む」のに仕事がイマイチな人…努力が報われない決定的な理由
2020年09月29日 公開 2024年12月16日 更新
仕事のためと多くの本を読む人…それが成果に結びつく人はもちろんいるが、その努力がなかなか実を結ばないない人がいることも事実。
後に予備校の人気講師として活躍する犬塚壮志氏自身も、かつてこの問題に悩んだ1人。本を読んだほうがいい、と言われるのに読んでも仕事の結果は追いついてこない。
犬塚氏は、本選びから読み終えるまでの「プロセスの評価」を取り入れるだけで、仕事に活きる読書が可能になると語る。
読書を仕事に役立てるための「評価」とはどのようなものなのだろうか。
「本を読むこと」だけが目的になっていないか?
読書を仕事に活かせる人とそうでない人の決定的な差とはなんでしょうか?
私は、社会人になりたての頃、同期や先輩よりも明らかに本を読んでいたにも関わらず、彼ら彼女らに比べて成果をあげることができませんでした。
あまりの悔しさに、この原因を徹底的に調べてみたところ、ある1つの事実がわかりました。
それは、本から得た情報を使って問題解決に至ったのかどうかを「評価」しているか、していないか。この差が最大の原因でした。
私はいつも「読みっぱなし」だったのです。仕事で成果を上げるために読んでいた本は、読み終わったらそれでおしまい。そして、似たような本をまた手に取ってしまう。読んだ内容が実際に身についたかどうかなんてことは、まったく確かめていなかったのです。
読むこと自体が目的となってしまい、本の内容を身につけて成果を上げるという本来の目的ことがおざなりになってしまっていたことが、読書しても仕事で成果を出せない最大の要因だったのです。
それでは、なぜ読書においてきちんと「評価」できると、少ない読書量でも、仕事で成果を上げることができるのでしょうか?
本を選ぶ段階から「読書全体のプロセス」を効果検証する
ここでいう「評価」とは、これまでの読書のプロセスを振り返って確認し、「改善点を探る」ことです。本を読んでどうなったかという結果だけでなく、本を選ぶ段階から本を読み終えるまでのプロセス全体を評価し、そして直していくのです。
このような評価の作業を行うことで、毎回の読書の成果を厳しい目でチェックすることになり、成果の出ない読書を淘汰することができるのです。
このような評価を終えるまでは類書を読まないようにします。なぜなら、成果が出たかどうかわかっていないということは、読書前の問題意識はそのままということ。そうなると、類書を読んでも読み取る情報は大きく変わらないからです。
もちろん、類書を読む行為を全部、時間のムダと言っているわけではありません。以前まったく同じ問題意識を持って読んだ本から情報を抽出したのに実行に移さないまま類書を読むことがもったいないと考えているのです。
本を読んだ後に成果が出たかどうかを効果検証し、新たな問題意識を得て、そこに対する解決策を探そうと新たな読書に進む。そのために評価が必要なのです。
こういった読み方をすることで、量を読んで満足してしまう危険を避け、読んだ本の内容を確実にインストールすることができます。
私はこのような読み方が科学実験のフレームワークにそっくりだと思っており、「理系脳読書術」と呼んでいます。
なお、「読んだ本が自分には難しかったから、同ジャンルでもう少しレベルを下げた本を読もう」、これも立派な「評価」であり、確実に前進していると考えていただいて大丈夫です。