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もしコロナ禍で財務大臣が豊臣秀吉だったら…給付金はいくら払うのか?



2021年03月30日 公開

眞邊明人(株式会社先駆者代表)

豊臣秀吉

もし徳川家康が日本国の総理大臣だったらー。この極めて実験的な試みに挑戦した眞邊明人氏の新刊『もしも徳川家康が総理大臣になったら』。

この小説の舞台は、2020年にコロナが大流行した日本。総理官邸でクラスターが発生し、地に堕ちた政治の信頼を取り戻すべく政府がAIとホログラムにより家康だけでなく龍馬や信長、秀吉など錚々たる偉人たちを復活させ最強徳川内閣を作る設定である。

眞邊氏は大日本印刷、吉本興業を経て独立し、政治家のスピーチ指導や、一部上場企業を中心に年間100本近くのビジネス研修、組織改革プロジェクトに携わっている。その知見からコロナ禍に立ち向かう歴史人物のifを描いている。

本稿では同書より、新型コロナウイルスの感染者が急増し、徳川内閣が1か月間のロックダウンを実施する危機的な状況下で、財務大臣に任命された豊臣秀吉がどう振る舞うのかを描いた一節を紹介する。

※本稿は、眞邊明人 著『もしも徳川家康が総理大臣になったら』(サンマーク出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

全国民に“50万”給付、不正を恐れない石田三成の発想

ロックダウンが始まり、何よりも国民の関心は、自分たちの行動制限に対する補償がどのような形で行われるかということに向けられていた。

つまり財務大臣豊臣秀吉が記者会見で発言した「全国民に50万を10日間以内に支給する」という前代未聞の政策が本当に実行されるのか、国民は半信半疑だったのである。

この給付金政策の指揮官に、秀吉により任命されたのが石田三成であった。

「よいか!!正しさなどは後回しじゃ! 速やかに下げ渡す。そのことのみに腐心せよ!!!」

財務省の特別対策室で小柄な武士が切り裂くように声をあげた。痩せ型の身体に大きな頭、後頭部がせり出し、異様に額が広い。肌は青白く、一見、不健康そうだが、目尻が吊り上がり、そこから生気に満ち溢れた眼があたりを睥睨している。

秀吉の天下統一の大事業の後半はすべて三成が"ヒト・モノ・カネ"の手配を行っていた。希代の大事業家である秀吉の功績はこの石田三成という異能の男がいなければ成し遂げられなかったと言っても過言ではない。

「石田殿。大久保殿の了承は得られましたぞ」

そこにひとりの男が入ってきた。 裃姿で綺麗に剃り上げられた月代が青々としている。背は高く、やや猫背で痩せ型、 顔立ちは秀麗と言っていいだろう。涼やかな目元と引き締まった薄い唇。いかにも秀才といった風情だこの男の名は、荻原重秀という。

彼が徳川綱吉の時代に行った政策は、日本で初めて大規模な貨幣改鋳による貨幣の流通量のアップである。

当時、金銀の生産量低下や貿易による金銀の流出などにより市場に出回る貨 幣が不足することで経済が停滞していた。また、綱吉の散財癖により幕府の財政赤字が深刻な問題であった。

これらを解決するため、重秀は当時出回っていた慶長小判を回収し、金銀の 含有量を減らして新たな貨幣をつくることで流通量を増やしたのだった。

「口座というものはどれくらいわかりましたでしょうや?」
重秀は三成に尋ねた。

通常、給付金というものは申請がベースである。受給する者が、申請書に記入をして提出、それを審査して、そこから給付を行う。

したがって、アクションとしては、 申請書の発行→受給者の申請→申請書の確認→給付という流れになる。ふたりはこのフローを簡略化することを考えていた。

「吉田を呼んで参れ」
三成が命じると、ほどなくして、スーツ姿の官僚が現れた。

現代の官僚である。吉田拓也。35歳。入省13年目の中堅である。灘高、東大を首席で卒業した筋金入りのエリートである。三成は就任早々に財務省の幹部と面談し、能力が高いと判断した者を数人抜擢し、対策本部のリーダーにおいた。吉田はその中でも筆頭であった。

吉田は、三成に対して反感を示す同僚や上司とは違い、三成の論理性や視座の高さ、課題解決能力の高さにすぐに気づき、心酔し、 現代官僚と三成たちとをつなぐ役割を忠実に果たしていた。

「お呼びでしょうか?」
「口座はどれくらい集まったか?」
「はい。税金の還付口座、年金の受け取り口座、以前給付した児童手当、災害給付金など集められるだけ集めております」

「それでどれくらいの割合になろうや?」 重秀が尋ねる。
「およそ3割から4割。各地方自治体独自の政策で判明するものもありますので、半分くらい にはなるかと」

さすが、三成が選んだエリートである吉田は淀みなく返答した。

「よい。それでは、わかったものから順次、下げ渡しを進めよ。今すぐにじゃ」
三成は吉田に言った。

「今すぐ……で、ございますか」
「今すぐにじゃ。少々の間違いがあってもよい。間違いはあとで正す。まずは手をつけることじゃ」
「わかりました」

吉田は、三成の発想に感心した。通常、官僚は“不正”や“間違い”を恐れる。それゆえ、 すべてのデータが揃い、すべての工程を精査してから実行しようとする。つまり、PDCAサイクルのPであるプランに主軸を置き、Cであるチェック時での変更を好まない。

しかし、三成の発想は、「全員給付」という大目的に対して、とにかく実行を求め、CのチェックとAである改善により対処することでスピードをあげようという考えだ。

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石田三成が重んじた“シングルタスク”方式 >



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