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もしコロナ禍で財務大臣が豊臣秀吉だったら…給付金はいくら払うのか?



2021年03月30日 公開

眞邊明人(株式会社先駆者代表)

 

石田三成が重んじた“シングルタスク”方式

ふたりは 10日で全国民に50万円を給付するために、工程を次の3つに分けた。

(1) 既に口座がわかっている者の振込み(役所に振り込んだ履歴が残っている者
(2) 振込み口座がわからない者に口座を申請させ、振込み
(3) (1)(2)で振込めなかった者の給付 第1は、口座のわかっている者の振込み作業。これは一番単純な作業で、最初の3日をめどにした。

そして、それと同時に、口座のわからない者に関しては、各地方自治体のホームページでマイナンバーを公示し(氏名は公示せず)、ホームページ上で口座の申請をさせた。

口座は公共料金および、給与などを動かすメインバンクの口座に限定させ、通帳のコピーを添付させた。これが第2の工程で、6日間で完遂することをめどとした。

本来は、この申請の確認に膨大な時間を要するが、三成は、住民票との突き合わせのみで、 確認作業を省いて振込み作業に突入させた。振込み作業だけでも膨大な手間である。

これを三成はすべての官僚、地方官僚も含めて総動員で行わせた。集中的な人力作業の指揮は三成の得意中の得意であった。作業を細かく分け、ひとつひとつの作業をシンプルに担当させる。

決してマルチタスクにはさせない。シングルタスクによる能力の差は是正しやすく、課題発見しやすい。

これが、信じられないスピードで城や町を造った秀吉と三成による“最強のPDCAサイクル”と言っていいだろう。膨大な人数を必要とするが、その分短期間で終えることが可能になる。

ちなみに、この秀吉、三成が得意とした方式は、江戸時代に引き継がれていく。江戸時代は世界史上でも稀に見る「専門職」の多かった時代だ。例えば、筆をつくる工程ひとつにしても、穂先だけをつくる職人、筆管だけをつくる職人、というようにシングルタスクで専門職が分かれていた。

ひとつの工芸品をつくるのにも、各工程ごとに職業が成立していたのだ。このことがひとつひとつの工程のクオリティを高め、完成品の水準を高めた。

 

最終手段は「現金の手渡し」?…カリスマ・豊臣秀吉

残るは、3つ目の工程である。 (1)や(2)の工程で給付できなかった、最後に残った面々である。これにはいわゆるフリーターや外国人在留者といった人たちも多く含まれていた。これは難関であった。

「割り切りをせねばならぬ」
重秀は吉田に言った。

ちょうど、給付金プロジェクトがスタートして5日目のことである。

「いかなる形であっても下げ渡すことが優先じゃ」
「なるほど……」

吉田は少し首を捻った。彼もここしばらくの経験で、三成や重秀の考え方について理解が深まっていた。やれない理由よりやれる方法を考える。それはエリートたちの本来持っている課題解決欲求だ。

「それではこうしませんか。現時点で口座が判明しない者については今から通知書を送ります。 その通知書と、本人の身分証明書、そして本人名義の銀行の通帳持参で受け付けるのであれば」 

今から、手配をして各自の住所に送る。それだけでも膨大な作業である。しかし、三成、重秀なら成し遂げるであろう。少し前なら荒唐無稽な話であり、そんな考えは頭に浮かべること もなかったに違いない。

「よかろう」 重秀は頷いた。
「早速、口座未確認者の精査に入ります」

あとは、作業だ。そうなると1秒でも早い方が良い。吉田が動こうとしたその時であった。

「受け付けるなど手ぬるいのう。そのまま渡してしまうのじゃ」

驚いて、振り返るとそこには財務大臣豊臣秀吉がいた。

「は?」 重秀も吉田もキョトンとした。

秀吉が言っていることが一瞬、理解できなかったのだ。 秀吉はその様子を見て、大声で笑った。

「受け付けてのちに振り込むなどとまどろっこしいことをするなと言っておるのじゃ。来た者にその場で金を掴ませれば良い。それならいっぺんに済むじゃろうが!」

「しかし、そのようなことをすれば、それを目当てに不正を働こうとする者が増えるのでは ……」 あまりに大胆な秀吉に思わず吉田が口を開いた。

秀吉はその吉田の唇を手に持っていた扇で押さえた。そして、ニヤリと笑った。

「良い良い。くれてやれ。そのあとでたっぷり懲らしめてやれば良いのじゃ」 秀吉の笑みは快活な明るい色合いから、独裁者の冷酷で陰惨な笑みへと変化した。

「良いか。仕事と思うな。祭りと思え。祭りならば気も浮き立ち、頭も回る。役目を思わば、 気は重くなる。おみゃーらはどえりゃー祭りを今からやるのじゃ。歌え! 舞え! 狂え !! それでこそこの秀吉の配下の者じゃ。今から祭りを始めようぞ!!!」

秀吉は扇を開いて、舞うようにその場にいる者を鼓舞した。地鳴りのような、全身に震えが くるような興奮があたりを揺るがせた。これが、奇跡を可能にするカリスマ、豊臣秀吉である。

 



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