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他人から押し付けられた「こうあるべき」に苦しめられる人々



2021年05月03日 公開

鈴木裕介(内科医、心療内科医、産業医)

 

では、こうした「べき思考」を手放すためには、どうしたらいいのでしょうか。

まずは、自分がどんな「べき思考」を持っているのかを言語化していく作業が必要です。何に苦しめられているか、つまり「敵」を知らなければ、適切に戦うことはできませんからね。

「べき思考」をあぶり出すために僕がオススメしているのが、自分のイライラやムカッとした感情に着目してみることです。

例えば、「部下が毎回会議にギリギリに来るのが腹立たしい」といった場合には、「集合時刻の5分前には集合するべきだ」とか「部下は上司より早く来て準備をするべき」といった「べき」が隠れている可能性があります。

人が怒る時というのは、自分が大切にしている「べき」が裏切られた時なのです。

自分が怒りや苛立ち、違和感を感じた時に、それを日記やメモに書いておいて、そこに隠れている「べき」に気づき、言語化してみてください。

【怒りの気持ちから「べき」に気づく例】

・夫が子育てにまったく参加しないのが腹が立つ → 子育ては夫婦でするべき

・部下が欠席をLINEで伝えてきたのに違和感 → 欠席の連絡は電話でするべき

・カラオケで1曲目にバラードを歌われて違和感→カラオケの1曲目は盛り上がる曲であるべき

 

怒りをヒントにして、自分の抱えている「べき」が言語化できたら、次は、その「べき」が本当に自分の幸せにつながっているのかを考えてみてください。

僕は、「自分を幸せにしてくれる、人生に本当に必要な『べき』は、片手に収まる程度しかない」と考えています。

自分の今の幸せに直結しない「べき」は、持っていたって仕方がありません。「結婚するなら相手は絶対に公務員や銀行員であるべき」とか、「男子は厨房に入らざるべき」みたいな考えをいつまでも大事に背負っていて、今の時代に幸せになれるでしょうか。

「べき」とは、しょせん他人の価値観がインストールされたものにすぎません。かつては「正しかった」としても、時代が変わればフィットしなくなる価値観もあります。

また、「べき」があなたを幸せから遠ざけてしまう理由がもう一つあります。それは、「べき」が「怒り」に強く結びついているからです。

「べき」が多いほど、その人の「怒り」も多くなります。怒りは自分自身を傷つける感情です。

それに、言葉は悪いかもしれませんが、「べき」が多い人というのは、要は「めんどくさい人」 なのです。何が理由で怒るかわからない地雷のような人は、とっつきにくく、腫れ物に触るように関わらざるを得ないので、周りの人にとってストレスでしかありません。

そんな人に、あなたはなりたいと思いますか?

僕は、「べき」が多くて苦しんでいる人に対して、「今は『べき』が400個くらいあるかもしれないけれど、それを最終的に3、4個くらいに絞ってみよう」とよく言います。

幸せに結びつかなそうなもの、こだわっていたけど実はどうでもよさそうなものは、どんどん手放していく。そして、どうしても手放せないものは、逆に「信念」として大事にしてあげればいいのです。僕はこれを「べきの選択と集中」と呼んでいます。

「べき」を手放せば手放すほど、ものすごく生きやすくなります。怒ることは減るし、器は大きくなるし、とっつきやすい人になるのですから、コミュニケーションの質も上がります。



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