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「読みにくい文章」で使われがちな“3つの言葉”

2021年05月17日 公開

水島なぎ(ライター・編集者)

水島なぎ『四則演算の文章術』

どう書けば上手く伝わるのか…LINEやTwitterなどのSNS、仕事ではメールやチャットなど、文章を書く機会は多いがルールを意識して書いているだろうか。長年、電子書籍出版や校正・校閲に携わってきた文章のプロ・水島なぎ氏が「四則演算の文章術」を伝授する。

本稿では「四則演算の文章術」の中から、長文になる原因「3つの言葉」について言及した一説を紹介する。

※本稿は、水島なぎ著『四則演算の文章術』(インプレス)より一部抜粋・編集したものです。

 

長文の原因「という」

後に続く名詞を修飾するのが「という」の役割であり、その前後はイコールの関係で結ばれます。「という」は等しい関係の語句を後にどんどん文章をつなげていけるので、文章が長くなる原因になってしまうのです。

例文を見てみましょう。「という」に注目して余分な語句を引く例と、ほかの言葉に置き換える例をお見せします。

×:お土産を買いつつ食事も楽しむ【という】目的があるのなら、国際通り【という】沖縄のメインストリートがおすすめです。

〇:お土産を買いつつ食事も楽しむなら、沖縄のメインストリートである国際通りがおすすめです。

まずは、「という」の前後を抜き出します。

・お土産を買いつつ食事も楽しむ=目的

そして、イコールで結ばれている前と後、どちらを残すか見極めます。この場合、より具体的な「お土産を買いつつ食事も楽しむ」を残し、抽象的な「目的」を引きます。なくても意味が伝わるのであれば、余分な表現はできるだけ引くのがおすすめです。

・国際通り=沖縄のメインストリート

こちらは、国際通りがどんな場所かを補足するための情報なので、単純に引くわけにはいきません。「という」のままでも問題ありませんが、語順を入れ替え、「である」に置き換えました。

このように、名詞を補足するためにどうしても必要な情報は、語順を入れ替えて「~である○○」に置き換えられる場合もあります。

――続いて、報告書の一文を想定した例文を見てみましょう。積極的に引いたほうがいい冗長な表現と、どうしても省けない「という」が登場する例です。

×:仕入れコストの急増【という】課題を解決できなければ、今年度の利益率は大幅に下がってしまう【という】ことになるだろう。

〇:仕入れコストの急増【という】課題を解決できなければ、今年度の利益率は大幅に下がってしまうだろう。

末尾にある「~ということになる」のような意味のない冗長な表現は、検討の余地なくバッサリとカットしてOKです。「~というのだろうか」や、「~というものだ」なども同様です。ただし、もうひとつの「という」は、慎重に検討します。前後を抜き出してみましょう。

・仕入れコストの急増 = 課題

たとえばこの報告書を読む相手が、「仕入れコストの急増」が利益率改善のための「課題」だとすでに理解している場合。過去に何度も議題に上がっている、あるいは報告書のタイトル自体が「○○の課題について」となっている場合もあると思います。

読み手にとって既知の情報であれば、あえて「課題」と書く必要はないでしょう。より具体的な表現を残して「という課題」を引き、「仕入れコストの急増を解決できなければ……」とするのもひとつのやり方です。

しかし、「仕入れコストの急増」が利益率改善における「課題」である、と読み手に明確に伝えたいのなら、これは省けない「という」だと判断できます。どうしても省けない「という」は、読み手が知らない情報や読み手にどうしても伝えたい情報を添えている場合です。

 

なくても意味が伝わる「こと」「もの」

文法的な説明をすると、「こと」や「もの」は形式名詞にあたります。形式名詞とは、「事」や「物」などがもともともっている実質的な意味を失った、形式的な名詞のこと。直前の文章を受けて名詞化する役割があるので、いろんな言葉とセットで使われやすい言葉です。

「こと」と「もの」は、主語を構成する文節である主部に登場しやすいだけでなく、述語にもくっつきやすい厄介な言葉。しかも、「ということ」「というもの」のように、贅肉同士がくっつきやすいのも厄介です。なくても意味が伝わる場合は引きましょう。

例文をご覧ください。こちらも、報告書をイメージした文章です。

×:経費がアップした【こと】の原因のひとつに、資料の印刷回数が増えたという【もの】がある。資料の一部をペーパーレス化することで、経費を30%も削減することができる。

〇:経費がアップした原因のひとつに、資料の印刷回数の増加がある。資料の一部ペーパーレス化により、経費を30%も削減できる。

「~したことの」や「~というものがある」は、なくても意味が伝わるので、機械的に引いてOKです。「~することで」は「~により」などに置き換えられます。「~することができる」は、シンプルに「~できる」と表現するか、可能を示す「~られる」に置き換えてもよいでしょう。

――次は、文末に登場しやすい「こと」を改善する例をお見せします。例文を見てください。

×:10年後に後悔しないためにも、自分に合った働き方を選択していくことが大切です。働き方を通して、あなたらしさを追求することが重要です。

〇:10年後に後悔しないためにも、自分に合った働き方を選択しましょう。重要なのは「あなたらしさの追求」です。

「~することが大切です」や「~することが重要です」のような、抽象的な締めくくり方が書き癖になっている人も少なくありません。「こと」が文末に続くと、結局何が一番大切で何が一番重要なのか、わかりにくくなってしまいます。

改善後は、似たような文末が解消されて、文章全体にメリハリが出ました。わざわざ「~することが大切です」と書かなくても、「~しましょう」と言いきればいいんです。文章が力強くなり、大切さが伝わります。

また、前述のとおり「こと」のような形式名詞には、動詞を名詞化する役割もあります。「~を追求すること」のように動詞を名詞化するのをやめて、「~の追求」と名詞のままで表現するのもおすすめです。

「重要なのは○○です」のような、「A=B」を示すシンプルな構造の文章は、読み手の印象に残りやすいです。

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