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「自己PRなんて無い…」と悩む就活生も使える、テレビの“ずるい言い換え”テクニック

本橋亜土(番組制作会社スピンホイスト代表取締役)

2021年05月25日 公開 2022年08月16日 更新

 

「ポジティブワード」がコミュニケーションの鉄則

たとえば、ある商店街の「小さな飲食店」を紹介することになりました。このお店が選ばれた理由は、ロケの際、ネタになりそうなお店が思いの外少なかったから。正直長所はなく、目立つのは短所ばかり……。

そんなとき、どう切り抜けるか。いくつか例を挙げてみましょう。

【例1】
その店は売り上げも低く、広いテナントを借りられない。単純に「狭い店内」。
番組では……「こぢんまりとして、アットホームなお店ですね!」と紹介。

【例2】
料理人を雇うことができず、年老いた奥さんが厨房に入っている。単純に「資金力に乏しい小規模店」。
番組では…… 「おふくろの味!」と紹介。

【例3】
広告など打てず、目立つ看板すら作ることができない。単純に「目立たない店」。
番組では……「隠れ家的ですね!」と紹介。

【例4】
お客さんが入らない。ゆえにシーンとしている。単純に「流行っていない店」。
番組では……「落ち着いた店内ですね」と紹介。

どれもよく聞くフレーズですよね。テレビでは、このようなお決まりのフレーズ(確立された演出法)を駆使して嘘をつかずに、ポジティブな情報を発信するわけです。

これらの言いまわし、聞いていて悪い気がしないですよね?ここがポイントです。

一緒にいて「いいな」と思う人、「この人なんだか嫌だな」と不快感を伴う人、世の中には両者とも存在しますが、その判断基準の1つは、「ネガティブな発言が多い人」と「ポジティブな発言が多い人」の違いではないでしょうか。

ここで言う、「ネガティブ」「ポジティブ」とは、他人や自分、物事を悪く言うか、良いところを探して前向きな発言をするかということです。

コミュニケーションには相手が存在します。当然相手には感情があり、ひとたび話に不快感を覚えると、感情のシャッターを閉ざしてしまい、その話を「つまらないもの」「聞く価値のないもの」と判断してしまいます。結果、相手の記憶に残らない話になってしまうのです。

相手を不快にさせない =「悪く」言わない

これもコミュニケーションの鉄則です。相手が不快になることは致命的な事態につながります。悪口を言うのはもってのほかですが、謙遜が行きすぎて「私なんて…」と自分を卑下することが多い人も注意が必要です。

批判や批評も必要とされる報道番組を別として、テレビの情報番組やバラエティ番組はこの点に非常に気を使います。たとえば、取材先のお店が正直褒められるところがなかったとしても、必死で良いところを探します。

そのような思考をベースに行動することで、コミュニケーションが円滑に進むようになるのです。

これは伝え方の法則というより、人付き合い・コミュニケーションの極意と言うほうがうまく当てはまるかもしれません。

ぜひ、まわりに「陽」の空気を振りまく演出としても使ってみてください。

 

1つの長所を徹底的にアピールする

短所を長所に言い換えるテクニックを紹介しましたが、それをさらに魅力的に表現する方法をお伝えしましょう。

それは、「イチ押しポイント」です。この言葉、情報番組などでよく聞くと思います。新製品やお店、アミューズメントスポットなどを紹介するときの定番フレーズです。

このよく聞くフレーズ。実は、この言葉を使う理由は、多くの場合、その商品やお店に「良いところが1つしかない」からなんです。

「1つしかない」良いところを、「一番良いところ」と言い換える。

1つしかなければ、それは「一番」になるんです。マラソン大会の出場者が1人だったら、間違いなく優勝ですよね。

ポイントは、「嘘をついていない」ことです。「嘘つきにならずにすむ」以外にも、「人を傷つけない言いまわし」としても使えます。

たとえば、友人から「男友達を紹介してほしい」と頼まれたとき。今彼女がいない男友達は1人しかいません。でも、その男友達は、正直イケてない。顔も普通だし、お金もない。オシャレにも気を使わない。これまで一度しか女性と付き合ったことがない、単にモテない男…。

こんなときは、「1人の女性としか付き合ったことがない」という短所にフォーカスし、それを長所に置き換えたうえで、「イチ押しポイントは、とにかく一途で誠実なこと!」 と表現してみます。

モテないから浮気もできないわけで、「誠実」という部分に関しても嘘をついていません。これなら男友達のことを魅力的に表現できますし、誰も傷つけることはありません。

「これ、イマイチだな」と判断したものは、短所を長所に言い換えたうえで、「イチ押しポイント」としてアピールする。

簡単に使えるうえ、お店の商品説明やプレゼン、自己PRなど幅広いシーンで活用できますので、ぜひ試してみてください。

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「言い換え」で切り抜けられないときは

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