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電球はエジソン以前に既に発明されていた? 偉大なイノベーションが“起きる”理由

2021年06月09日 公開

大賀康史(フライヤーCEO)

大賀康史

ビジネス書を中心に1冊10分で読める本の要約をお届けしているサービス「flier(フライヤー)」(https://www.flierinc.com/)。
こちらで紹介している本の中から、特にワンランク上のビジネスパーソンを目指す方に読んでほしい一冊を、CEOの大賀康史がチョイスします。

今回、紹介するのはマット・リドレー著『人類とイノベーション 世界は「自由」と「失敗」で進化する』(NewsPicksパブリッシング)

この本がビジネスパーソンにとってどう重要なのか。何を学ぶべきなのか。詳細に解説する。

 

イノベーションとは何か

大賀康史

イノベーションを起こした人と言われると、誰を想像するでしょうか。スティーブ・ジョブズのような天才を想像するかもしれませんし、アイザック・ニュートンのような科学に決定的な影響を与えた人が思い浮かぶかもしれません。

しかし誰か特定の人を思い浮かべるとイノベーションの理解を誤るかもしれません。本書の最も強いメッセージは、「イノベーションはゆるやかな連続プロセスである」ということです。それはたくさんの人々が試行錯誤を経た上で成し遂げる行程だとも言い換えられます。

イノベーションは善なのか悪なのかという議論をする場合にも、単一のできごとを扱うと危ういものとなります。一つのイノベーションは、ゆるやかな連続プロセスの結果であるとともに、体系としてのイノベーションも相互に影響を及ぼし合いながら進んでいく生命体のようなものだからです。

『繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史』で描いたように、著者のマット・リドレーは過去の時代を美化しません。過去の人類が暮らしていたのは、ウイルスへの対応ができず、衛生状態も劣悪で、食は貧しく、知に接することもできない、そういう環境だと言うのです。

マット・リドレーは原著のタイトルである、『The Rational Optimist』すなわち合理的楽観主義者と言われ、その思想はそのまま合理的楽観主義と表現されます。

合理的楽観主義が、過去をありのままに振り返ろうという徹底的な現実主義から発していることは興味深いところです。では著者が見つめるイノベーションの本質に触れていきましょう。

 

あいまいな発明者と偉大なイノベーション

本書の中で、人類史上最も重要な出来事は、1700年ごろに北西ヨーロッパのどこかで起こり、それは1人または複数の誰かによってなされたと表現されています。あまりにあいまいで面白いですね。私たちはそのイノベーションの前半部分を知らないのです。その出来事とは、蒸気機関の発明です。

蒸気に物を動かす力があると気づいた人は、古代ギリシャやローマの時代からいたそうです。それからも実用に向けて応用する過程で様々な人が携わっていました。その後に、船や鉄道にも応用されていきました。

他の有名なイノベーションについても同様の傾向があります。例えば、皆さんも電球を発明した人はエジソンだと思っているかもしれません。本書を読むまで、私はそう思っていました。実際は電球に関わるアイデアを公表したか、特許を取得した人は数え切れないほどだといいます。

つまり、世の中を変える偉大なイノベーションは前進の連鎖によって起きるプロセスなのです。一方で、発明そのものは多くの人が行っています。その発明ですらも、周りのテクノロジーの進化によって促されているので、誰か一人の天才が偶然的に行うものではありません。

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試行錯誤ができる文化 >

著者紹介

フライヤー(flier)

ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。(https://www.flierinc.com/)

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