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電球はエジソン以前に既に発明されていた? 偉大なイノベーションが“起きる”理由

2021年06月09日 公開

大賀康史(フライヤーCEO)

 

試行錯誤ができる文化

現代の企業や組織は、イノベーションを起こすことが主要な目的だとも言えるでしょう。サービス・製品改善によって他社と似たものをよりうまく作ることによる果実は減り、イノベーションを起こす革新的な企業が株式市場でも高い評価を受けています。

本書の読者は、イノベーションに関わる教養を求めて手に取っているかもしれません。しかし、いい意味で本書は期待を裏切ります。イノベーションを起こすための実践的なヒントが十分込められているのです。

まず、イノベーションには試行錯誤のプロセスが不可避だと言います。原子力エネルギーの活用が進まず、シェールガスの採掘が実用化されたことにも背景があります。

それぞれのリスクの大きさが全く異なるため、試行錯誤の活発さに違いが生じて、その結果に至っているようです。他にもイノベーションには「協力」と「共有」を必要とし、アイデアが交差するところで起こるという記載もあります。

ここで、現代の組織文化の流行語とも言える「心理的安全性」との接点が表れます。心理的安全性が作られている組織は、メンバーにとって「自分の発言を受け止めてもらえる」という安心感のある組織だと言われています。

つまりそのような場では、頻繁に意見が交わされて、お互いに協力をして、試行錯誤がされやすいのです。

「心理的安全性」という言葉を表面的にとらえていると、自らが所属する組織をイノベーションから遠ざけてしまっている可能性があります。組織文化が革新を起こす力に及ぼす影響は大きいとも言えます。

 

イノベーションが導く未来はいかなるものか

イノベーションが起きる背景はケースバイケースです。イノベーションを実現した人は、自分の豊かさや支配欲といった利己的な動機付けがなされていたかもしれませんし、世の中のために活かそうという利他的なものもあるでしょう。

イノベーションと一括りに扱ってしまうと、枠組みが大きすぎて意図が見えにくくなります。アリストテレスは、利己性と利他性の区別は問題ではないと語りました。利己であれ利他であれ重要なのは、何を善とするかという内面の徳の部分にある、と。

古代ギリシャの教えは、現代のイノベーションにも通じます。例え自分にもメリットがある利己性をともなうものでも、それによって人を幸せにできるような善も両立していれば、そのイノベーションは賞賛されるものとなっていきます。

現代は物質社会と呼ばれることもありますが、その言葉とは違って、実際には様々なイノベーションによって脱物質化のトレンドがあると著者は言います。

アメリカの人口やそこで生み出されるサービスが増える一方で、アルミニウム、鋼鉄、銅の消費量は減少しています。2008年からの10年で、アメリカの経済は15%も成長しながら、エネルギー消費量は2%減少しています。地球規模で脱物質化が進むことは、持続可能な社会への一歩にもなっていきます。

人類の進歩を導くうえで、イノベーションは不可欠です。世の中を少しでも良くしようという自らの善の意志とイノベーションを結び付けるために、試行錯誤をいとわないという人であれば、本書は強い後押しになる一冊ではないでしょうか。

 

著者紹介

フライヤー(flier)

ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。(https://www.flierinc.com/)

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