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「寝て忘れる」は逆効果? コロナ禍で抱えた“不安”をやわらげる24の方法

堀田秀吾(明治大学教授)

2021年07月07日 公開 2022年06月06日 更新

「寝て忘れる」は逆効果? コロナ禍で抱えた“不安”をやわらげる24の方法

不安が大きくなると混乱して、落ち着いて物事を考えられなくなります。そんなときは、冷静な思考を取り戻すアクションを試してみましょう。不安に陥ることが少なくなっていくはずです。

本稿では明治大学教授の堀田秀吾さんが、すぐに不安を和らげられる24の方法を紹介します。

※本稿は、『PHPスペシャル』2021年3月号より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

人間は"未知のもの"に不安を感じる

新型コロナウイルスによる未曾有のパンデミックの被害によってもたらされた、さまざまな「未経験」の事態。働き方も生活もコミュニケーションも、あらゆるものに対して今までとは違う形で取り組まなければならなくなりました。

それに伴って現れたさまざまな「不安」。病気のこと、仕事のこと、暮らしのこと、これからのことなど、不安だらけの日々が続いているのではないでしょうか。

人間はもともと新しいものには警戒する性質があります。未知のものには警戒して近づかないようにしないと、それが自分の体の健康や命を脅かす可能性があるからです。

その警戒心は不安として表れます。つまり、不安を感じることは悪いことではありません。不安だからこそ、現実にならないように対策を練りますし、行動もします。

もし不安を感じなければ、人間は危険を省みない行動をするようになり、すぐに死んでしまいます。よって、不安を感じがちなのは決して悪いことではありません。

ただ、不安のせいでイライラしたり、落ち込んだり、緊張したり、判断や行動ができなかったり、心の病気になってしまったりすることもあるので、不安とどう向き合い、付き合っていくのかが重要になります。

ここでは、不安に対処するためのさまざまな具体的なアクションを紹介していきます。ここで紹介する方法はすべて、世界中の研究者たちによって、効果が実証されているものです。

当然、それでも効果には個人差があります。いろいろ実践してみて、ご自身に一番合う方法を見つけていただければと思います。

 

「不安なときに絶対にしない」ほうがいいこと

●ふて寝をする

気分転換をしてから寝ましょう。嫌悪感を与える映像を見せたあとに美しい映像を見せて、嫌な映像の記憶がどれだけ残っているかを調べた実験があります。

嫌悪感を与える映像だけを見た被験者は嫌な記憶の定着率が高かった一方、嫌な映像のあとに美しい映像を見た被験者たちは、嫌な映像を3分の1しか覚えていませんでした。

●深追いをする

時には勇気ある撤退、つまり「あきらめが肝心」なこともあります。どうあがいても回収が不可能な時間や資本のことを「サンクコスト(埋没費用)」と言いますが、これにしがみつくと、私たちは判断を誤ってしまいます。「これまで時間をかけてきたから」「ここでやめたらもったいない」と深追いすることは禁物です。

●やけ酒をする

飲酒前、飲酒中、飲酒後で記憶テストを行なった結果、飲酒をしなかったグループより、飲酒していたグループのほうが、記憶テストの成績が良かったという実験結果があります。つまり、愚痴りながらお酒を飲むと、その記憶が強く残ってしまいます。不安をお酒でごまかそうとするのはやめましょう。

●動かない

日中に体をある程度動かさないと、交感神経と副交感神経の交替がうまく行なわれず、自律神経が乱れて夜にしっかり休めなくなります。睡眠不足は、疲れやストレス、さまざまな疾病の原因となります。運動は、メンタルだけでなく、あらゆる生活習慣の改善に有効ということも研究で示されています。

●ネガティブな人と接する

脳は見たものに影響されるので、不平不満ばかり言っているネガティブな人と一緒にいると、ネガティブな気持ちが自分にも伝染してきます。また、免疫機能が低下し、不安感や頭痛なども引き起こします。

●不安なことを言ったり聞いたりする

不安を言葉にしたり、不安になるようなことを聞いたりしないようにしましょう。脳は、自分の言葉と他者の言葉を区別できません。ネガティブな言葉を発しても同じダメージを受けます。また、ネガティブ思考は脳の老化を早め、認知症になる確率が3倍になるとも言われています。

●ものに怒りをぶつける

不安だとついイライラしがち。でも、ものに当たるのはやめましょう。怒りを発散させるためにパンチング・バッグを殴った被験者たちは、怒りがおさまるどころか攻撃的になって怒りが続き、関係ない人にまで怒りをぶつけたという実験結果があります。

●情報を過剰に集める

不安になるといろいろ調べて、多くの情報を集めようとしますが、情報が多くなると迷走し、判断を誤る可能性が高くなるという研究があります。自分が重要視したい情報だけに絞って判断するのが賢明です。

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「不安をすぐになくす」ためにするといいこと

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