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社会

米スタンフォード大教授から見た「息ができない」日本社会の現状

スティーヴン・マーフィ・重松(聞き手:大野和基)

2021年10月19日 公開 2023年09月12日 更新

 

日本人が「ハートフルネス」から学ぶべきこと

――日本は自殺率が高い国ですが、その理由について何か背景を洞察することはできませんか?

【重松】BLM(Black Lives Matter)のスローガンは"I can’t breathe"(息ができない)でしたが、日本の多くの人は同じような感覚を抱いていると思います。日本は制限が多すぎて自由度が十分にない、真の自分を出してはいけないような社会です。

選択肢もセカンドチャンスも、あまり与えられない。日本人が自由に関して抱いている感覚は、アメリカ社会でいう「息ができない」という意味になることが多いのではないかと思います。本当の自分を出せない、なりたい自分になれない、そういう選択肢が社会にないという感覚です。

日本では、物事を諦め、可能性を見出せないでいる人が若者の中にすらたくさんいます。日本の高校で仕事をしたことがありますが、そのとき私が高校生たちに見出してほしかったことの一つは「人生の可能性」という感覚です。

なんでもやればできる。努力し、かつ運がよければ夢はかなうという感覚。いまの日本でそういう感覚をもっている若者は、あまりいないように思います。

――人生で本当にやりたいことを見つけられずに一生を過ごす人もいますが、あなたは天職を見つけたと思います。自分の宿命を見定めるための秘訣はありますか。

【重松】私が日本企業の社長や役員に向けて行なっているトレーニングでは、まず互いに「Who are you?(あなたは誰ですか)」と問うことから始め、次に「自分がワクワクすることは何ですか」と聞きます。

そうすると、自分はどういった人物であり、何にワクワクするのかを意識できるようになる。そこで初めて人生の目的を考えるステージに進めます。言い換えれば、自分のアイデンティティやワクワクする感情をいかに仕事に結び付けることができるか、という視点をもつことで本当にやりたいことが見つかっていくのです。

 

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