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イスの高さも重要? 眼科医が解説「テレワークで視力を落とさない」4つのコツ

平松類(医師、医学博士)

2021年10月29日 公開 2022年07月11日 更新

 

目に負担のかからない4つのコツ

1つめは、イスと机の高さを調整すること。イスと机の高さのバランスが悪いと、姿勢が悪くなります。言い換えれば、モニターに対する体の角度が悪くなり、体に負担がかかります。これが結果として、無理に目を使うことにつながるのです。

たとえばイスが高すぎると、画面を上からのぞき込むような姿勢になります。すると画面と顔の距離が近くなり、目に過大な負担をかけることになります。逆にイスが低すぎると、画面を下から見上げるようになります。これはこれで、ドライアイの原因になります。

ちょうどいいバランスの目安は、机の高さをイスの高さ+座高の高さの3分の1(4〜6cm)程度に調整すること。これを1つの参考値として、自分にとって体にも目にも負担のかからないベストバランスを探ってください。

目にやさしいデスクワークのコツ

2つめは、上の図にあるようにモニターの上端が目線の水平~15度下になるくらいに、モニターと目線の位置関係を調整すること。先に説明した机とイスのバランスと同じ考え方です。

このようにモニターと目線の位置関係を調整することで、モニターを上からのぞき込むような姿勢で顔と画面が近くなったり、逆にモニターを下から見上げるような姿勢でドライアイを招いたりすることを予防できます。

3つめは、60分ごとを目安に、仕事の手を止めて目を休めること。リモートワークになると、常に一人の環境で仕事をする人も多いでしょう。それだけ外界に煩わされず仕事に没頭できるというメリットもありますが、没頭しすぎる可能性もあるというのはデメリットです。

仕事の手を止めるタイミングを逸しがちなのです。特に集中力の高い人、真面目な人は、それ自体は素晴らしいことなのですが、このリモートワークの罠に陥ることが多いようです。

強いて意識的に仕事の手を止め、遠くを見る、ホットアイやパームアイを行なうなど、目を休める時間を確保してください。

4つめは、机上の照明は300ルクス以上に調整すること。今までは「明るすぎ」を避けたほうがいいという話をしてきましたが、日中の仕事環境では「暗すぎる」というのもよくありません。

明るい光が直接目に入ってくるのは、たしかに目の負担になります。ただし環境光、つまり目に直接入ってくるわけではなく、周囲の物に反射して間接的に入ってくる光は、一定以上の明るさがあったほうがいいのです。

目には、「杆体」と「錐体」という大きく2種類に分かれる細胞があります。杆体細胞は暗い状況で能力を発揮します。ただし、ぼんやりと物の像を捉えるのみで、物を細かく見たり、色合いを判別したりする力は高くありません。暗闇を歩くときを思い浮かべてみるとわかるでしょう。

一方、錐体細胞は明るいところで力を発揮します。つまり一定以上の環境光がなくては、錐体細胞が十分に働けず、私たちは物を細かく見ることも色合いを判別することもできないのです。

そして最後、5つめは、湿度を40~70%に調整することです。パソコンなどの作業をしていると、自然にまばたきの回数が減ります。このとき周囲の湿度が低かったら、目の水分はどんどん失われてしまいます。

目を酷使し、まばたきが減りがちな仕事環境では湿度にも気を配り、目の乾燥を防ぎましょう。

 

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