一社だけで働き続けられない時代...今後のキャリアを左右する「職場での学習」
2021年11月05日 公開 2022年01月13日 更新
ビジネス書を中心に1冊10分で読める本の要約をお届けしているサービス「flier(フライヤー)」(https://www.flierinc.com/)。こちらで紹介している本の中から、特にワンランク上のビジネスパーソンを目指す方に読んでほしい一冊を、CEOの大賀康史がチョイスします。
今回、紹介するのは『職場学習論 新装版』(中原淳著、東京大学出版会)。この本がビジネスパーソンにとってどう重要なのか。何を学ぶべきなのか。詳細に解説する。
長いキャリアを一社に捧げるのは難しい
事業を発展させられるかどうかは人次第。優秀な人材を確保して育成する難しさは、あらゆる会社が抱える課題になっています。
2008年をピークに人口減少トレンドに入り、リーマンショック後の不況以来、有効求人倍率の全国平均はコロナ禍でも1を超えています。2020年の出生率は1.34となり、少子化傾向は継続しています。
会社経営の視点では、人材不足が長期化しているため、人材獲得の企業間競争が激しくなるばかりです。給与水準の高い一握りの大手企業や、急成長中のスタートアップを除いて、ほとんどの企業は十分な人材採用が行えていないという実態があります。優秀な人を採用する難易度は、これからも上がる一方だと予想されます。
働く個人の視点では、会社のライフサイクルは短くなったため、長いキャリアを一社に捧げるという生き方は難しくなっています。この環境下では、どうすれば長いキャリアをまっとうできる核となるスキルを身に付けて行くのかを、自分自身で考えなくてはなりません。
会社経営の視点でも個人のキャリアの視点でも、これからの時代を生き抜くには人数や長時間労働で解決するのではなく、継続的な能力向上が不可欠です。人材育成の領域でも様々な研究がなされていて、特に職場における学習に注目したのが、本書『職場学習論 新装版』です。
2010年に出版されたロングセラーの装丁を新たにした本書には、今も十分に通用する理論と提言が込められています。