名著が教える「社長が雑務を引き受ける企業」が伸びる理由
2020年08月17日 公開 2024年12月16日 更新
ビジネス書を中心に1冊10分で読める本の要約をお届けしているサービス「flier(フライヤー)」(https://www.flierinc.com/)。フライヤーの運営企業のCEO大賀康史氏が紹介した書籍の中から、さらに高みを目指すビジネスパーソンには特に読んでほしい一冊をチョイスする。
今回、紹介するのは『STARTUP 優れた起業家は何を考え、どう行動したか』(堀新一郎、琴坂将広、井上大智 著・Newspicks刊)。この本がビジネスパーソンにとってどう重要なのか。何を学ぶべきなのか。詳細に解説する。
すべてのチャレンジをする人に必要なノウハウ大全
「明日から〇〇企画部に異動してほしい」
「スタートアップ企業と連携したオープンイノベーションを推進してほしい」
キャリアが変わる瞬間は突然訪れます。ほどんどの会社において、過去から続く業務の繰り返しや改善では、環境の変化に耐えられなくなりつつあります。人口が減少して人手不足に陥ることもありますし、テクノロジーの進化で自分の仕事が必要なくなってしまうこともあるでしょう。
キャリアにおいて、最も難しいチャレンジの一つは起業かもしれません。多くの人を採用し、上場やM&Aを目指すような形ならなおさらです。
2016年に設立された株式会社は約9万社であるのに対して、2019年の新規上場(IPO)社数は86社、同年の国内企業による国内ベンチャー企業へのM&A件数は999件です。IPOとM&Aを合わせても1,100社に満たず、起業全体の概ね1%~2%にとどまっています。
華やかな成功が難しい世界において、成果を出したスタートアップだけを贅沢に集めて、汎用的な学びを導こうというのが『STARTUP』です。
本書は、初めから終わりまで「起業」をテーマに語っていて、一般のビジネスパーソンに無理やり転用しないスタンスにはすがすがしさすら感じます。それでも、その成功や苦労からエッセンスを理解すれば、多くの人が新規事業などの難易度の高い業務でも活かせる勘所になるでしょう。
アイディアをどう見つけ評価するのか
いつかは起業したい、と考えている人は実際に起業する人の10倍以上いると言われています。いい起業アイディアがあれば起業したいという話は、私もよく聞いています。本書にはそんな悩める起業家予備軍に心強い秘策を授けてくれます。
【自分ひとりで探さなくてよい】
創業時は自分ひとりでアイディアを発想しなければいけないと考えているとしたら、そうでもないのだと知っておくと気が楽になるでしょう。海外事例を調べたり、日ごろから感じている課題から着想したり、環境や技術の変化をとらえる方法などが紹介されています。
よく私が聞くのは、海外のスタートアップの事業を数百社程度調べる、という方法です。海外事例からヒントを得て、自分ならではの事業にしていく方が、一から考えるよりずっと考えやすいでしょう。
他の人と相談する場合、私のオススメはスタートアップ投資をしている人に、今ホットな会社の事業モデルを聞く、ということです。
投資をされている方は、魅力のあるモデルに多く触れているので、少しずうずうしいと思われるかもしれませんが、ストレートに聞いてしまうのです。イベント等でスタートアップ投資をされている人に会えれば直接聞くこともできてしまいます。
【いいアイディアかどうか】
アイディアの評価にあたり、5つの基準が紹介されています。
・誰の何の課題を解決しているのか
・スケールできるのか(大きな事業規模を見込めるのか)
・既存のサービスに置き換わる新しいサービスか
・ビジネスとして成立するのか
・数年後により多くの人に使われるサービスか
必ずうまくいく事業モデルなどというものは存在しません。また、必ず成功できる人も存在しません。一方で、見込みのない事業モデルは行う前からわかるものです。一度事業を始めると様々な苦労をするのですから、始める段階で上記のポイントは確認しておきましょう。
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社長はプログラミング、財務会計、営業、総務まで自身の対応力が求められる