PTA問題に詳しいジャーナリスト・大塚玲子氏によると、多くの保護者はPTA会費を気付かぬまま徴収されているという。同氏はPTA問題について解説した著書『さよなら、理不尽PTA!』の中で、PTA会費の強制徴収と、その使い道について警鐘を鳴らす。本稿では犯罪スレスレの会費徴収と、学校への「寄付」についての一説を紹介する。
※本稿は、大塚玲子著『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
犯罪すれすれ「会費の強制徴収」
PTAでは、加入と会費の支払いがほぼセットになっているため、会費も本人の同意なく徴収されることがよくあります。PTA会費は学校が給食費などといっしょに代理徴収していることが多いため、保護者はそれと気づかず、いつの間にかPTAに会費を納めることになりがちです。
しかし、本人に意思を確認しないままお金をとるというのは犯罪すれすれというか詐欺というか、かなりヤバいやり方だと言わざるを得ないでしょう。本来は当然、一般的な他の団体と同様に、加入するかどうかを本人に判断してもらい、同意をとってから会費を払ってもらう必要があります。
そもそもPTAと学校は別の団体なので、本当はPTAが単独で会費を集めたほうが誤解がないでしょう。もし学校に会費を代理徴収してもらう場合は、PTAと学校の間で業務委託契約を結び、さらに入会届を出してもらうときなどに、一人ひとりの同意をとっておく必要があります。
なお、ときどき「就学援助対象の家庭は会費を免除する」といったルールを設けているPTAがありますが、これも問題です。強制加入を前提とした場合には一見「親切」なルールですが、本来PTAは任意加入であることを前提に考えると、謎ルールです。
もし誰でも「入る」「入らない」を選択できるなら「免除」は不要でしょう。こういった「免除」のルールがあると、役員さんが就学援助対象家庭を知ってしまうことも多く、個人情報の取扱いという観点からみても、非常に問題があります。