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社会

15歳の天才発明家が実践する「イノベーションに必要な5つのステップ」

ギタンジャリ・ラオ(著)、堀越英美(訳)

2021年12月29日 公開

 

「イノベーション」と「インベンション」の違い

ここで別の方面から発想してみましょう。まず、インベンション(発明)をするのか、イノベーションをするのかを決めてください。すべてはこれにより変わります。インベンション(発明)とイノベーションは、このような違いがあります。

・インベンション(発明):ゼロからアイデアを固め、そのアイデアをもとに下から上まで作りあげること。または新しいプロセスをはじめて導入すること。
・イノベーション:もっと多くの問題を解決できるように、既存の技術をベースとして用いてその上に組み立てていくこと。現在使われている解決策を改善すること。

私はイノベーションなら早く効率的に成果をあげられること、創造性を発揮できる余地がたくさんあることに気づきました。一方、発明はオリジナルのアイデアがあればすばらしいのですが、つまずきやすいということがあります。

どちらを選ぶかは自分次第ですが、私は背景となる知識を活用して、かつ基礎から積みあげていくことにもっと力を入れていきたいと思っています。何かを発明するのが難しいなら何かをイノベーションすればいいというのは、10代のイノベーターが犯しがちな思い違いです。

でも、自分が何をしているのか、なぜそうしているのかを知ることで、イノベーションをゆっくりと発明に変えることもできるのです。これがうまくいくためには、以下のようないくつかのルールが必要です。

・これから紹介するプロセスはあくまでもガイドです。あなたオリジナルのものにするため、これらのプロセスにひとつ変更を加えてください。

・最初からうまくアイデアを思いつかなくてはと、プレッシャーに感じないでください。産みおとされたばかりの鶏の卵だって、ヒナが出てくるまでには時間がかかりますよね。アイデアも出てくるまでに永遠と思えるほどの時間がかかることがあります。

大切なのは、辛抱強く待つことです。約束しましょう、アイデアはいつかは生まれてきます。厳しい締切をもうける必要はありませんが、大切なのは、どこに行っても何をしているときでも、そのことについて考え続けることです。

・内容がわかりづらい、活用しにくいと感じたら、自分なりの発想ツールを考案してください。それもまた、イノベーションの使いどころです!

 

イノベーションの具体的な5つのステップ

では、イノベーションのプロセスをくわしく見ていきましょう。わかりやすくするために、語呂合わせを使います。

Old Bananas Regularly Belong in Cake
(古くなったバナナはいつもケーキに入れる)

私はこの語呂合わせでプロセスを覚えています。さて、それぞれの単語の頭文字をとってみると...このとおり! プロセスの5つのステップの説明になります。

【ステップ1】O―Observe(観察する)
【ステップ2】B―Brainstorm(ブレインストーミング)
【ステップ3】R―Research(調査する)
【ステップ4】B―Build(制作する)
【ステップ5】C―Communicate(伝える)

【ステップ1】観察する
5つのステップをながめると「観察する」が、いきなりとても広い範囲を示す言葉のように感じますね。そのとおり。ステップ1の「観察する」は、解決したい問題や、答えを探したい疑問を見つける手段です。

個人的には、イノベーションのプロセスにおいて、これが一番難しいステップだと感じます。でも、散歩をしたり、ニュースを見たり、雑誌の記事を読んだり、ただ何かをじっとよく見たりするだけでも、今まで考えもしなかったアイデアがわいてきたり、アイデアをしぼりこむのに役立ったりするかもしれません。

【ステップ2】ブレインストーミング
次はステップ2「ブレインストーミング」です。このプロセスを最初にはじめたとき、ブレインストーミングは最終的なアイデアを考えだすためのステップだと思っていました。

それはとんでもない間違いでした。ブレインストーミングでは、思いついたことすべてを手早くノートにメモし、それらを分類するだけでいいのです。このステップにおいては、悪いアイデアは存在しません。

【ステップ3】調査する
続くステップ3は「調査する」です。調査という言葉には、手ごわいイメージがあります。ものすごい数のウェブページをスクロールして、図書館に何日もこもって、たくさんの雑誌を収集して...単調に思われるかもしれませんが、一度ハマってしまえば、意外に楽しいものです。

調査をやる意味は、クールなアイデアを見つけだすことにあります。調査とは、ブレインストーミングで書きだしたリストを、マトリックス法などのさまざまな発想ツールを使って、見込みのあるアイデアにしぼりこむための作業です。

【ステップ4】制作する
ステップ4「制作する」! 個人的には大好きなステップです。私が「制作する」を大好きなステップだと思うのは、自分のプロジェクトやアイデアに目に見える形をあたえることができるからです。

たとえば、私が鉛検出デバイス「テティス」を制作するとき、最初にしたのはプロトタイプ(試作品)を作ることでした。それは世界一美しいとはいいがたい代物でしたが、しっかり役目をはたしてくれました。

ボール紙で作られた模型でも、自分がデバイスをどのように見せたいのかがわかったのです。最初のプロトタイプが望みどおりの見た目にならなくても、がっかりしないでください。試行錯誤を根気強く続ければ、絶対に当初の想定以上にかっこよく見えるものになりますから。

【ステップ5】伝える
いよいよ最後のステップ5「伝える」です。私はこのステップをとても楽しんでいます。たった今も、この本を通して自分の考えをみなさんに伝えています。人に伝えることは注意を要しますし、ときには怖いこともあります。

それでもすばらしいアイデアを考案したら、それを世界に示す必要があるということに向き合わなくてはいけません。伝えるという行為には、本、スピーチ、実演、アート作品、動画、あるいは創作ダンスなど、非常にたくさんの形があります。可能性は無限大です。

 

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