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脂肪1kgの燃焼に必要な運動量は「フルマラソン2回分」

2022年01月21日 公開

工藤孝文(内科医)

健康オタクは痩せにくい

ダイエット外来医として肥満に悩む多くの人々と接し続けてきた医師の工藤孝文氏は、我慢をするだけではダイエットはかえって失敗してしまうと指摘する。

工藤医師が実際に患者さんに行っている「行動療法」を記した同氏の新著『身体ミニマリスト』より、運動とダイエットの関係について言及した一節を紹介する。

※本稿は工藤孝文著『身体ミニマリスト 空腹感の近くで暮らす』(インプレス刊)より一部抜粋・編集したものです。

 

運動不足では太らない

「運動不足だから太っている」という誤解もよく耳にします。ダイエットをはじめると、運動に精を出し、筋トレをはじめたり、ランニングをしたりしますよね。

また、年配の方で「膝が悪いから(運動ができなくて)太っている」と運動不足のせいにしてダイエットを諦めてしまう人も多くいます。

しかし、これらはすべて誤解です。

スポーツ庁が令和3年に実施した「スポーツの実施状況等に関する世論調査」によると、日本人の79.6%の人が運動不足であると感じています。もし、運動不足が太る原因だとすれば、近い割合の人が肥満になるはずですよね。

しかし、厚生労働省による令和2年度調査によると、成人の肥満症(BMI25以上)の割合は、男性で33%、女性で22.3%にとどまっています。

つまり、少なくとも50%前後の人は、運動不足によって肥満にはなっていないのです。

脂肪1kgを燃焼させるためには、42.195kmのフルマラソンを2回走る必要があります。運動で痩せようとするのは、大変効率が悪いことがわかりますね。

思い出してみてください。運動を頑張ったのに大して痩せなかった、という経験をした人も多いのではないでしょうか。むしろ筋トレで筋肉量が増して、体重が増えることもあるでしょう。

運動ばかりに気を取られて、食事に目が向かなくなってはいけません。ダイエットに必要なのは運動ではなく、食べる量のコントロールです。

むしろ運動は、ホルモンコントロールに活用するべきです。

筋トレや有酸素運動をすると、セロトニンやドーパミンなどの脳内ホルモン分泌が増えて、糖分や脂質の欲求を抑えることにつながります。

イライラして、甘いものを欲したら、その場で簡単な筋トレをしてみてください。余裕があれば、10分程度散歩するのも良いでしょう。

運動嫌いな人はストレスが溜まって逆効果になることもあるので、向き不向きを見極めながら行ってください。

また筋トレは、筋肉量を増やして基礎代謝を高める意味では有効だと思いますが、食事量の調整をおざなりにしては決して痩せることはできませんので注意してください。

 

コロナ太りは、運動不足が原因ではない

昨今、「コロナ太り」という言葉をよく聞くようになりました。

ステイホームやリモートワークで外出する機会が減り、運動不足になって太った、と思っている人が多くいるようです。

しかし、先ほどもお伝えした通り、運動不足だけで太ることはありません。

考えられるのは、セロトニン不足です。

日光を浴びるとセロトニンが多く分泌されます。第1章でお伝えした通り、セロトニンはダイエットにおいてとても重要なホルモンです。

まず、セロトニンが不足すると、それを補おうと、糖質を欲してしまいます。さらにセロトニンは約16時間後に、睡眠ホルモン・メラトニンに変わります。メラトニンが不足すると、睡眠の質も下がり、太る原因になります。

つまりコロナ禍で、ステイホームやリモートワークで外出する機会が減り、日光を浴びなくなったことによって太った、が正解です。

日光を浴びて、セロトニンの分泌を増やすことが重要です。また、セロトニンがメラトニンに変化するのは約16時間後ですから、逆算して、就寝する16時間前に日光を浴びるといいでしょう。たとえば、0時に就寝したいのならば、朝8時に日光を浴びましょう。できれば20分ほど散歩することが理想ですが、難しい場合は明るい窓の近くで過ごすだけでも構いません。雨の日でも有効です。

このように考えると、コロナ禍以前の毎朝の「出勤」は、ちょうど良いタイミングで日光を浴びていたのだと考えられますね。リモートワークの中では、出勤に代わる日光浴の方法を上手に取り入れてください。

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