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生き方

「夫が何もわかってくれない」と嘆く妻がとった意外な解決策

片田智也(産業カウンセラー、キャリアコンサルタント)

2022年07月05日 公開

 

「わかってもらいたい」なら、先にわかってあげる

自然な弱さを強さに変えるのに、他人からの共感、つまり、「わかってもらうこと」は欠かせません。

わかってもらう工夫をし、「わかってもらう」のハードルを下げたとしても、それでもわかってもらえないことはもちろんあります。もっとも悩まされるのは、お互いの「わかってもらいたい」がぶつかってしまったときです。

たとえば、上司と部下、夫と妻、親と子など、接する時間が長く、かつ感情的なやりとりが多い関係性において、お互いの「わかってもらいたい」をぶつけあう、「わかって欲しい戦争」が起きやすくなります。

仕事の会議のような論理的に話しあう場でも、よく起きるもの。

「わかって欲しい戦争」を終わらせるのは難しくありません。「わかって欲しい」を奪いあっているのですから、まずは絶対に正論を口にしないこと。

「どちらが正しいか」の世界から抜けて、より冷静なほう、本書を読んでいるあなたから先に相手をわかってあげてください。考えや気持ち、価値観、いいかえると、相手がそう考えている、そう感じている、そう信じていることを代弁できるぐらい「わかってあげる」のです。

一度、夫婦不和の仲裁をしたことがあります。典型的な「わかって欲しい戦争」で、どちらも「大変さをわかってくれない」と言っていました。

個別でよくよく話を聞いた結果、より冷静だったのは奥様のほう。「旦那さんの言い分を代弁できるぐらい聞いてあげてください」と奥様と打ちあわせし、私から旦那様にこう伝えたのです。「奥様、反省されていました。自分の気持ちばかり主張して悪かったと。お二人でお話しされてみてはいかがですか?」と。

結果、「わかって欲しい」が満たされた旦那様が「自分のことばかりになって済まなかった」と奥様の考えを進んで聞いてきたそうです。

奥様いわく、「結婚してから、あんな素直な夫は初めて見ました」とのこと。人は「わかってあげる」と「わかってくれる」ものなのです。

人にとっての三つのK、協力、共感、共有は精神的な食事にも等しい。本来、毎日のように摂取しないといけないぐらい大切なもの。一度、「わかってあげる」と「わかってもらう」が循環し始めると、人間関係もよくなります。

わかってもらいたいのはあなただけではない。目の前の人もわかって欲しいと思っている。お互いが口を開いていてはどちらの声も聞くことができない。冷静な側が先にわかってあげる。

人間関係というのはお互いの間にあるもの。双方のやりとりによって決まるものです。その関係性にどちらのせいというものはありません。相手に対してあなたが感じていることというのは、たいてい相手があなたに対して感じていることと同じなのです。

「わかって欲しい」と思うなら、冷静なあなたから先にわかってあげてください。そうすれば、戦争も終わって、共感が循環する関係性が始まるでしょう。

 

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