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年収1000万を捨て地方移住...コロナ禍でむしろ増えた“人生の選択肢”

吉澤恵理(医療ジャーナリスト)

2022年07月01日 公開 2022年07月05日 更新

 

即決した広島への地方移住

岡本さんが会社を辞めた後、もう1つ大きな決断をした。

「広島へ移住しました。現在の住まいは家賃3万円で1000坪の敷地に40坪の家です。敷地が広いので畑を作り、野菜を育てたり、農業にも挑戦しています」

広島への移住を決めた際の行動力は、目を見張るものだった。

「退職し、それまで住んでいた大阪からのんびりした地方へ移住したいと考えました。そこで、空き家バンクで現在の住まいを見つけ、『いいな』と思うと同時にサイトに連絡し、翌日には広島へ見に行き、即決して契約しました」

現在の住まいから広島市の中心部までは車で1時間弱。そのため、法人化後のオフィスは広島市に構えた。

「広島市まで通勤する人には、ガソリン代が補助金として支払われる制度があり利用させていただいています。また、広島の観光大使にもなり、今後、広島について発信していく予定です」

広島での暮らしに『人の触れ合い』を感じているという。

「大阪では、マンションで暮らしていました。すぐ隣に人が住んでいても顔も知らないのが当たり前でした。しかし、広島では、100m先のお隣さんでも顔を知っていて、会えば、挨拶だけじゃなく、お話もします。人の存在が近く感じるようになりました」

また、岡本さんが住む地域では、60-70代以上の人が多く、岡本さん夫婦は、地域の人にとって孫のような年代だ。

「僕は31歳、妻は26歳ですが、この地域では珍しい若い人という感じのようです。ご近所の皆さんに会うと『コーヒー飲んでいけば?お茶飲んでいけば?』と声をかけてくださり、早い段階で地域に打ち解けることができました」

地方移住で感じた人との繋がりは、現代では貴重な経験と言えるのかもしれない。コロナによって仕事に大きな影響を受けた人も少なくないだろうが、岡本さんのように自分にとってのプライオリティが明確になれば、様々な選択肢が見えてくるのかもしれない。

【吉澤恵理(よしざわ・えり/薬剤師、医療ジャーナリスト】
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業(現、東北医科薬科大学)。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

 

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