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「上司に媚び、部下に高圧的な人」がいつも不機嫌である悲しい理由

渋谷昌三(目白大学名誉教授)

2022年07月14日 公開 2022年08月01日 更新

 

上司にはなにも言えないくせに、部下に当たる人

「あの主任、部長にはどんな理不尽なこと言われても、ヘラヘラ笑ってるのに、俺たち平社員が相手だと、すぐに威張って怒鳴り散らしやがって。二重人格かよ」

などと、陰口をたたかれている人は、中間管理職にありがちなようです。こういう人は、自分の抱える怒りや不満を、転嫁していることがあります。

横暴な部長に腹が立ったり、イヤミなことを言われて恨みを感じたりしても、それを部長にぶつけることはできない。そこで、自分より弱い立場の部下に当たり散らすことで、その怒りを発散させているのです。これを心理学用語で「フラストレーションの転移行動」といいます。平たくいえば八つ当たりですね。

けれど、本来、怒りや不満は、それを感じた当事者にぶつけるのが、もっとも解消できるものです。それがかなわない場合は、その攻撃したい当事者に似たタイプの人に、ぶつけるようになります。

たとえば、女性にフラれた腹いせに、同じような年頃の女性ばかりを狙ってイヤがらせや痴漢行為をする、というようなことです。

ところが、自分より弱い立場の部下では、代償行動としての満足度が低いので、気持ちをスッキリ晴らすことはできません。ですから、つねにイライラして、怒鳴り散らす悪循環となります。

このようなタイプは、権威主義者であることが多く、地位が自分より下の人間の言うことには素直に耳を傾けようとしません。こうした人にはなるべく接触しないのが1番の回避策です。

ビクビクして小さくなっていると、弱い者いじめのレーダーに引っかかりやすくなります。普通に、堂々とした態度でいるのがいいでしょう。

弱い者いじめの的にされないよう、堂々とした態度でいましょう。あまりひどいようだったら、さらに上の上司に進言を。

 

いちいちイヤミをかぶせてくる人

どんなときでも、ひと言チクリとイヤミを言うのを忘れない人がいます。誰かのうっかりミスや勘違いを正しながら、「こんなの常識でしょ?」。

いつもよりおしゃれをしている人に向かって、「へえ、見られる服も持ってたんだ」。

楽しそうに笑っているところにやってきて、「いいわねえ、あなたにはなんの悩みもなくて」。

「きょうの服装なかなかステキね」「楽しそうね。なにかいいことあったの?」などと言えばいいところを、人の気持ちをグサリと傷つけたり、不愉快な気分にさせる言葉をわざわざ選んでふっかけてくる。非常に困ったタイプの人です。

こういうイヤミなタイプの人は、その人自身があまり幸せな状態ではありません。ゆううつな問題を抱えていたり、誰かに認められたい、ほめられたい、と望んでいるのに、その気持ちを満たされていなかったりします。自分自身に余裕がなく、幸福感もなく、いつも欲求不満でイライラしているのです。

こういう人は、他人に対して優しい気持ちを持つことができません。それどころか、自分のイライラや欲求不満をぶつけられる対象を、いつも心のどこかで探しています。そして標的が見つかると、心ないひと言をぶつけて、モヤモヤをすっきりさせようとするのです。

もちろん、そんなことで、本人が抱える鬱積した不満が解決するわけではありません。一瞬、ちょっとスッキリするという程度です。

けれど、そのスッキリがクセになり、「相手にイヤミを言う」のが、その人のコミュニケーションスタイルになってしまいます。誰かと接するときのクセとなるのです。

そうなると、「あの人はイヤミな人」「話すと不愉快な気分にさせられる」と周囲に認知されるようになり、ますます自然な会話を交わす機会が遠のいていきます。するといっそう欲求不満となり、人嫌いとなっていってしまいます。

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