適度に名前を呼んでみよう
あるカントリークラブの受付をしている女性は、客の顔と受付で書く名前をその場で覚えてしまうそうです。
平均、1日に8人で、今までの約1万人の名前を覚えていて、久し振りに訪れた客に、名前をよんで声をかけると、「エッ、覚えていてくれたの。うれしいね!」と話が弾みます。
この女性のように、名前を入れて話すと、相手を喜ばせることができます。しかし、これも程度問題で、こんな心理実験があります。
ある男性が、初めて会った女性と15分間話をする。この間、男性は6回以上、相手の女性の名前をよんで話をする。
そうしたところ、この男性は、相手の女性から「欺瞞的で、なれなれしくて、よい印象を与えようとしすぎる」と評価されたのです。
初めて会った相手の名前を2~3分に1回もよんだので、かえってマイナスになってしまったというわけです。
かつて、ある洋服店でスーツを買ったところ、後日、その店からハガキの挨拶状が届きました。驚いたことに、「スーツの着心地はいかがですか?」といった短い文面の中に、私の名前が4回も書いてあったのです。
正直いって、このハガキには、ゴマスリとなれなれしさでいささか不愉快になりました。自分の名前を軽々しく、繰り返し使われるのは決して気分のいいものではないと思ったものです。
ところで、名刺の交換をしたら、その時だけでもいいから、相手の姓名を覚える習慣を身につけておくと役に立ちます。初対面の相手であっても、「いかがですか」よりも、「佐藤さん、いかがですか」といったほうが親近感がわいてくるからです。
好感度の高い言葉や近接度を高める表現を使うのが上手な人は、「また会ってみよう」と思わせる人です。会って、話をすると楽しいので、また会いたくなるというわけです。