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「ノー」と言えない性格を生み出す“親との関係”

2021年04月29日 公開

加藤諦三(早稲田大学名誉教授、ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員)

加藤諦三著「言いたいことが言えない人」

認めてもらいたいのに気持ちをハッキリと伝えられない。さみしいのに人と接すると居心地が悪い。気まずくなれば自分の殻に閉じこもり、非難されると不機嫌になる。だから摩擦を避ける。

「こんなこと言ったらバカにされる、嫌われる」と普段思っているのではないだろうか。悩み相談のスペシャリストである加藤諦三氏が、我慢しないでちょっとだけ自分を信じてみたら、人づきあいが楽になる方法を紹介する。

※本稿は、加藤諦三著『言いたいことが言えない人』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。

 

「ハッキリ」と意志を伝えられない

人は自分に自信があるときには、自分の意志をハッキリと伝えられる。自信のある人は、恥ずかしがり屋の人にくらべれば、はるかに直接的な言葉で自分の意志をストレートに述べる。

嫌なことは「イヤ」と言う。してもらいたいことは「お願いします」と頼む。恥ずかしがり屋の人は自分に自信がないから、自分を取り繕う。

恥ずかしがり屋の人は遠回しな言い方をする。間接的な言い方をする。言い訳が多い。だから相手は何を言っているのかがよくわからない。ハッキリと自分の意志を伝えないから、人とうまくコミュニケーションできないのである。

「いえ、僕はどっちでもいいですけれども……」とか「あなたがそうであるならそれでいいです」とか「私はべつに行きたいというわけではないのですが……」とか、とにかくハッキリとしない。

恥ずかしがり屋の人は、迷惑をかけて嫌われることを恐れる。図々しい人だと思われることを恐れる。その恐れや不安が先行して、「こうしてほしい」という自分の願望をハッキリと伝えられないのである。

人と効果的にコミュニケーションするためには、自分に自信があると同時に自分と相手の関係がわかっていなければならない。

自分はいま、親と話しているのか、恋人と話しているのか、昨日知りあった人と話しているのか、今日はじめて会ったビジネスパーソンと話をしているのか、目上の人と話しているのか、お世話になった人と話しているのかなどの関係がわかっていなければならない。

恥ずかしがり屋の人にはそれがない。社会的距離が理解できない。さらに恥ずかしがり屋の人には自分を守る意識が強すぎる。自分をよく見せようとする気持ちが強すぎる。それなのに、相手に対する関心はない。

恥ずかしがり屋の人は無理している。そこで恥ずかしがり屋の人は、不満がたまる。恥ずかしがり屋の人は「ハッキリ」と自分の意志を言えない。「ハッキリ」と言えないから相手はわからなくて、仕方なく無視する。すると傷つく。

恥ずかしがり屋の人はコミュニケーションしようとしているのだが、気に入られたいから無理をしてしまい、結局コミュニケーションできないのである。

 

人間関係の「遠近感」がわからない

ノイローゼになるような人や恥ずかしがり屋の人は、小さいころから「親しさ」を体験していない。親との関係で「近さ」を経験していない。「近さ」を経験するから人間関係の遠近感が生じる。こんなことは親だからしていいとか、他人にはしていけないとかいう人間関係の遠近感が出てくる。

しかし小さいころ、親との関係で「親しさ」を体験していないと、人間関係の遠近感が出てこないから、はじめて会った人にとんでもない「親しさ」を要求してしまう。

ノイローゼになるような人や恥ずかしがり屋の人は、はじめて会った人に親にするようなことを要求してしまう。「いじめは家庭から始まる」というが、恥ずかしがり屋も家庭から始まる。

女性恐怖症の人が通りがかりの女性を誘うというのは、対人恐怖症の人が人間関係の遠近感がわからないからである。この女性恐怖症の人は、人間関係の遠近感がなくて自分のなかの衝動しかない。

その衝動でもっとも重要なものは幼児的願望である。そこで見知らぬ人に自分の幼児的願望をぶつけてしまう。人間関係につまずく人は人間関係の遠近感がわからない人である。

はじめての会話ははじめてにふさわしい会話でふれあいになる。人間関係の遠近感が理解できていないから自然のつきあいが始まらない。人間関係の遠近感がないことが、最近の若者の「人と、どうコミュニケーションをとってよいかわからない」という悩みにつながる。

この人間関係の遠近感が問題にならないのが、インターネット。それでネットだと気が楽なのである。

テレビに出てきたあるネットの専門家が「面と向かって言えないことはメールでも言わないようにしようよ」と言っていたが、じつはネットで友だちを捜しているような人は、面と向かっても、ふさわしくないことを言う人なのである。

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