「使えない&使われない」職場の"誰得システム"を生み出す真犯人
2018年12月07日 公開 2024年12月16日 更新
なぜ生まれる? 「だれのため?」「何のため?」なシステム
いったい誰得!? そんな報われないITシステム、どうやって生まれるのでしょうか?
【1】システムありき
システムさえ作れば、すべての問題が解決する(と思っている)。
おエラいさんや声の大きい現場の部門が「システムを導入しろ」と言っているから、言われるがままにシステム化。ベンダー(営業)も、「受注できればそれでよし」と思っている。
ユーザーとベンダーが一体となって、そのシステムを作ることだけが見事に目的化!
【2】パッケージありき
パッケージソリューションが規定する仕様と業務フローに無理やりあわせてしまった。当然、いままでの業務のやり方が変わる、できていたことができなくなる。パッケージに業務をあわせず、そのまま導入してもうまくいくハズがありません。
カスタマイズも1つの方法ですが、カスタマイズを塗り重ねたパッケージを使うことに何の意味があるでしょうか? そもそも、なぜパッケージを選んだのですか?
【3】ウソくさいROI
社内ルール上、システム開発を審議するときは費用対効果を示して経営の承認を得ることになっている。が、これが見事に形骸化。
お決まりのROIの算出式にさえ当てはめておけば、ROIロジックすら成りたたせれば、それでよし。わざわざ現場なんて見る必要なし! あれあれ、それでいいんでしたっけ!?
【4】時代遅れ
やっとこさ完成させたシステム。ところが……画面も機能も古くさくて、使い勝手が悪い! 技術が古くて使い物にならない! それはなぜか? 投資の意思決定が遅いから!
システムが完成したときには、すでに機能も技術も陳腐化している……。あるいはなし崩し的に、要件が追加される。このシステム、いつになったら完成する?
【5】事前のシミュレーション不足
せめて、事前にそのシステムがどう使われるか調査・シミュレーションしておけば、こんなことにはならなかったはず。
「なんとかなるだろう」
「いいシステムだから、使われないハズがない」
プロジェクトメンバー一同、都合のいい思い込みで突っ走る。そして、残念なシステムのできあがり!
【6】もはやだれも使っていないまま放置
リリース当初は役割を果たしていた。ユーザーもたくさんいた。だがしかし、いまはユーザーは皆無、あるいは微々たるもの。運用保守費、維持費の垂れ流し。
加えて、「廃止」の発想がない。こうして、だれも使わないシステムが、まるでゾンビのようにデータセンターで生き続ける……。
こうして「だれのため?」「何のため?」なITシステムが今日も産声をあげる
イラスト:白井匠