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なぜ面倒に感じるのか? 「先延ばし癖」が直らない人の“脳の特徴”

菅原洋平(作業療法士)

2023年05月01日 公開

 

4つの集中を知ろう!

脳が作業に集中できる時間は決まっています。時間がきたら作業を終えて休憩したり、作業と作業の間に別の作業を挟んだりしてネットワークを切り替え、「めんどくさい」を予防しましょう。

【考えごとは5分】

考えごとをするのは長くても5分までです。5分経過すると、ほかのことが浮かんできて、本来考えるべきことを忘れてしまいます。5分で答えが出なかったら、「もう答えは出ない」とあきらめたほうがよいでしょう。

5分経過した時点で考えるのをやめて、席を立ったり歩いたりすると、案外アイデアが浮かぶこともあります。

【調べものは15分】

ネットで15分以上同じことを調べていられますか? 実は脳は16分に1回「先のこと(その日の予定など)」を思い出します。そのため、15分経過した時点で、脳はほかのことについて調べ始めてしまうのです。

15分調べものをしてもまとまらない場合は、一旦作業をやめて、ぼーっとするネットワークに切り替えましょう。

【同じ作業は30分】

脳は臓器なので、血液の循環によって酸素や栄養を取り入れる必要があります。脳の血流は、同じ姿勢で作業を30分続けていると低下します。その先も作業を続けるなら、30分ごとに作業を中断し、少し歩くなど体を動かして血流を戻すことが大切です。椅子から立ち上がるだけでも効果があります。

【知的作業は90分】

知的作業は、長くても90分以上は続きません。長時間にわたって知的作業を続ける場合は、90分ごとに休憩をとって席を立つ、お茶を飲む、他愛もないおしゃべりをするなど、2つのネットワークをうまく切り替えることが大切です。

ゆっくり休まなくても、外を眺める、目を少し閉じるなど、ちょっとしたことでもOKです。

 

テキパキ動けるようになる4つの方法

脳の仕組みを利用してパフォーマンスを上げる4つの方法を紹介します。日常生活で繰り返し実践していれば、「めんどくさい」が消えて、テキパキ動けるようになるはずです。

1.「〇〇をする!」と声に出す

脳は言語によって「動作」の検索をしています。たとえば、掃除がめんどくさいときに「あ~、掃除をしなきゃ」と言っていませんか? こう言われても、脳は掃除をするのかしないのか、理解できません。

また、一見よさそうな「ちゃんと掃除しよう」も、「ちゃんと」がどう行動することなのか、脳にはわかりません。

逆に「掃除をする!」「雑誌を棚に戻す!」など声に出して脳に明確な命令を出せば、脳が過去の神経ルートを引き出して体に指令を出し、スムーズに作業に取りかかれます。「〇〇しなきゃ」ではなく「〇〇をする!」と言い方を変えるだけで、めんどくささから簡単に抜け出せるのです。

2.ちょっとだけ手をつける

めんどくさく感じるときは、その作業に対し、「ちょっとだけ手をつける」ことをおすすめします。たとえば、めんどうな夕食後の片づけも、とりあえず1つの食器だけ「洗う→拭く→食器棚にしまう」の一連の動作をやってみてください。

実際やってみて「一つ片づけるなら全部終わらせよう」となれば大成功ですが、1つだけで終わりにしてもOKです。

ちょっとだけでも手をつければ、それは一度やったこと、つまり「新たな行動」ではなくなり、脳はエネルギーを使わずにすみます。そのため「めんどくささ」が減り、残りの作業にも案外さっと取りかかれるようになるのです。

\「パッケージ」にして続き作業に/

脳は、1つの作業の初めから終わりまでをパッケージにして記憶します。とりあえず1つの食器を洗って食器棚にしまうという一連の動作をするのは、片づけの作業をパッケージとして脳に覚えさせるためです。

再び夕食の片づけをするときには、パッケージ化された記憶が引き出されるので、脳に負担をかけず、「洗う」から「戻す」までの作業を、続きの作業としてスムーズに行なえるようになります。

3.とにかく手で触ってみる

私たちの五感は、脳が行動計画を立てるときの材料になります。五感の中でも脳にとってダイレクトなヒントになるのが触覚(触る)です。

たとえば、デスクに積み上がった書類を整理するのがめんどくさいと感じたときは、とにかくその積み上がった書類を触りましょう。書類に触りさえすれば、脳はこれから作業するものが「紙」という物体で、「両手を動かしながら、仕分けていけばよい」といった行動の予測を立てることができます。

このように、触ることで得られた情報が脳にとってわかりやすい命令となり、私たちは自然と動けるようになるのです。

4.一番やりたいことを最初にする

質のよい睡眠がとれていることが前提ですが、脳は午前10時に最も働きがよく、時間の経過とともに悪くなっていきます。

働いている人は、朝出社してすぐにメールチェックをするという人も多いでしょうが、脳が最も働く朝の時間をメールチェックに費やすのはもったいない。何事にもめんどくささを感じにくい朝の時間は、その日に最もやりたいことをやるべきです。

実際に複数のクライアントさんに、朝イチのメールチェックをやめてもらったら「とくに困ることはなく、かえってやりたい作業がはかどった」という人がほとんど。朝の時間に本当に自分がやりたいことをすることで、一日の達成感が大きく違ってきます。

 

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