自分だけどうしてこんな目に遭わねばならないのか。無意識に同じ悩みについて考え込んでしまう。生きていくために、なぜこんなに苦しいのか。
精神科医の斎藤茂太氏は、誰もがみな、平然と生きているように見えて、実は、大なり小なり悩みを抱えて生きていると指摘する。同氏は著書『きもちがすーっとラクになる本』にて、社会生活で出会う"マイナス"を"プラス"に変えるコツを紹介している。
忙しい毎日で、気持ちをリフレッシュさせる方法とは。
※本稿は、斎藤茂太 著『きもちがすーっとラクになる本』(PHP文庫)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
人生には「マイナス時間」がつきもの
誰もみな、困難な問題や複雑な状況に突き当たると、大いに悩み、苦しみ、その果てに、自分だけがなぜこんな思いをするのだろうと、世をはかなんだりする。あるいは、困難を克服して逞しく生きる人を傍目に見ては、人が普通にできることを自分はなぜできないのだろうかと、自らを責める。
それが普通だ。悩まない人などいはしない。問題のない人生などありはしないのだ。誰もがみな、平然と生きているように見えて、実は、大なり小なり悩みを抱えて生きている。
問題がすっきり片付くことばかりではない。相変わらず解決しない悩みを抱えながら、どこかで折り合いをつけて、なにげなく日常を過ごしている。そういうものだ。
だから、クヨクヨすることはない。みんな悩んでいる。 前を向いて、とにかく歩き始めよう。ちょっとずつでいい、焦る必要はない。そうして少しずつ現状を変えていくことができたら、きっと実りある人生を迎えられるはずだ。
人は誰でも、幸福になる権利を持っている。歩みをやめてしまわない限り、ずっと不幸ばかりが続くことはない。人生は山あり谷ありで、ときに予期しない苦しみや悲しみがあるが、自分で解決できない問題は、自分には起こらないものだ。
人生には「マイナス時間」がつきもので、これは人間の宿命といっていい。「人生の達人」といわれる人とは、刻々と変わる環境に「あるがまま」、つまり自然体で適応すると同時に、「マイナス」を「プラス」に転換する能力を持った人であるということができよう。
本書は、複雑化した現代社会での会社、家族関係、人づきあいで「快適に生きるためのコツ」や「"マイナス"を"プラス" にする発想法」を説いている。
ちょっと言葉の使い方を心がけるだけで、人間関係が丸く収まることもあるし、抱えていた悩みも考え方一つ変えるだけで、すーっとラクになるものだ。
忙しい日常の中で、心をリフレッシュさせてくれる意外なコツ。あるいは、平凡な日常をドラマに変えてくれるちょっとした工夫。妻・夫、親としてのあり方を、いろいろな例をあげながら説いている。
「パーフェクトでなくていい。80パーセントでいいじゃないか」
人間である限り、パーフェクトを厳守することは不可能だ。失敗することもある。壁に突き当たって立ち止まってしまうこともある。それが人間だと知ることができたら、もう少し余裕を持って生きられるはずだ。
まじめで正義感が強く、繊細な人ほど、自分を責めてしまう。もうそんなに自分を責めることはない。心残りはあるかもしれないけれど、あなたは十分にやった。もう前向きに生きるべきときだ。そろそろ自分を赦してやったらどうだろう。
心をラクにして生きようではないか。きっといいことが見えてくるはずだ。