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生き方

他人への不満をなくし「心の穏やかさ」を手に入れる方法

ジョン・キム(作家)

2025年05月27日 公開

他人への不満をなくし「心の穏やかさ」を手に入れる方法

職場の上司や、家族、友人...周囲にいる人に不満を抱いて、モヤモヤしてしまう...。そんな経験はありませんか? どうしたら不満を解消し、心の平穏を保つことができるのでしょうか。書籍『媚びない人生』より、幸せに生きるためのヒントをご紹介します。

※本稿は、ジョン・キム著『媚びない人生』(PHP文庫)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

不満の原因は、自分の中に見つける

幸せの対極にあるもの、そのひとつが不満かもしれない。学校においても、すべての日常生活においても、そして社会に出てからも、不満を言う人は本当にたくさんいる。

だが、不満を言ったところで何かの解決になるわけではない。責任を転嫁して、一時的に楽になるだけである。不満は不満のまま、蓄積されていく。実際のところ、不満を言う人は、そのことに気がついていることも多い。にもかかわらず、不満を言い続けている。極めて残念なことである。

もちろん不満を持つな、などと言うつもりはない。思い通りにいかないことは、世の中には山のようにある。しかし、自分にはどうしようもないことがほとんどであることも、不満の特徴かもしれない。

そこで私が提案するのは、不満も成長の糧にしてしまうことである。自分を強くする道具にしてしまうのだ。たとえ不満の原因が自分の外にあったとしても、その原因を自分の中に見つけるクセをつける。それは、自分を悪者にするということではない。不満を自分の中の原因に昇華できたなら、そのとき不満は不満でなくなるからである。

例えば、おかしな上司がいる。それを不満にして吐き出してしまうのは、簡単なことである。しかし、それを一度、抑えてみる。上司に対する不満の原因は何かを、自分の内側で考えてみる。

不満を学びの材料にし、成長の材料にし、反面教師にすることができるようになれば、ある意味で不満は感謝の対象にすらなってくる。世の中で起きることを自分でコントロールすることは難しい。しかし、起きたことに対して、どう解釈するかは自分次第なのだ。その解釈を自分の内面的な成熟につなげていくことができれば、それは単なる不満ではなくなる。

懸命にやったのにうまくいかなかったとすれば、未来のさらなる成長の種を提供してくれたことに感謝をすることである。こんな意識が持てれば、どんな状態でも常に心の穏やかさ、大らかさが持てる。また、平和に、幸せに生きていける。

そもそもからして、実は不満というものは、そのほとんどが極めてくだらないものだったりするのだ。自分の中に原因を見つけようとすれば、そのことに気づける。不満を感じたとき、修行だと思って内面で解決をしようと試みてみるといい。

そして大切なことは、不満を言おうとするクセや習慣を、意識してなくしていくことだ。不満を吐き出すことは、一時的に心地よいものである。周りも賛同してくれる。しかし、やがて気がつけば、類が友を呼ぶように不満を言い連ねる仲間ばかりが集まるようになる。不満が、不満を持つ人々を呼び集めるのである。

逆に大きな人間に見える人たちは、そんな場には絶対に来ない。言い訳もせず、愚痴も言わず、他者のせいにもしない。もし、そうした器の大きい人間を目指したいのであれば、もう不満を言わないことである。そして不満を持つ人が集まる場にも、行かないことである。

 

不可抗力に逆らわない

世の中には、自分でコントロールできるものと、できないものがある。おそらく多くの人がその事実に気づいているはずである。ところが、コントロールできない不可抗力に対して、不安や不満を募らせる人は驚くほど多い。

私ははっきりと線引きをしてしまったほうがいいと思っている。自分でコントロールできない不可抗力には逆らおうとせず、自分でコントロールできる可抗力の統制に集中する、ということだ。

内面の革命は、まさにその象徴といえる。他者をはじめ、自分の外にあるものは変えられないが、自分の中にあるものは自分でコントロールして、変えていくことができる。いくら他者を、あるいは周囲や社会を変えようとしても、それは自分のコントロールできない範囲のことであると強く認識するべきなのだ。自分にできることは、コントロールできる可抗力に集中することだ。

例えば、結果についての捉え方もそうである。就職の面接で合否を判定するのは企業である。競技会やコンクール、コンテスト、商談やプレゼンテーションも同様、評価するのは他者なのだ。自分ではどうしようもない。自分にできるのは、その時点にできる最高のパフォーマンスをすることである。結果は自分では決められないのだ。

このあたりの線引きがぼんやりしていると、クヨクヨと思い悩んだり、不安が消えないままになってしまったりする。結果は相手に委ね、自分は限られた時間の中で最善の集中を高めてやっていくことしかない、と気づかなければいけない。

逆にこの線引きができるようになると、結果を過度に意識せず、必要なパフォーマンスに集中できるようになる。結果が出たら、結果を真摯に受け止められるようになる。そうすれば、すべての瞬間において、穏やかに過ごせる。余計なプレッシャーにさいなまれることもなくなる。

ただ、年月を経て自分が成長していくにつれて、自分にコントロールできない不可抗力の部分を少しずつ減らしていく意識を持っていくことは必要だ。例えば、いま他者を変えられないとしても、努力を積み重ね、実績を出すことで、自分の説得力は高まり、その結果、他者を変えられる可能性は高まる。

不可抗力に縛られることなく、統制できる領域を増やしていくのだ。それは、運命の女神に委ねる領域を減らしていくことを意味している。いきなり自分の思い通りの人生にすることは難しい。しかしこうして少しずつ、自分らしい人生を形作っていけばいいのである。

 

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