仕事の成功を呼び込む呼吸法
2013年04月17日 公開 2022年12月21日 更新
呼吸の変化でアイデアを引き出す
古来、アイデアが湧くのは「馬上、枕上、厠上」といわれます。いまなら、電車や飛行機のなか、ベッド、トイレのなかというところでしょうか。これらに共通しているのは、基本的には、「1人」で「集中」できる場所ということです。
そして、もう1つ、普段と違っているものがあります。それは呼吸です。
私は週に2、3回出張するのですが、毎日の通勤電車のなかと、出張のときの新幹線や飛行機のなかでは、明らかに呼吸の仕方が違います。みなさんも、旅行のときの乗り物のなかでは、いつもと違う呼吸パターンになっているはずです。
トイレのなかやベッド上でも、日中、何気なく過ごしているときの呼吸パターンとは異なります。あるいは、入浴中とかボーツと景色を眺めているときも、仕事中の呼吸とは異なるものです。
こんなときにアイデアが湧いてくるのは、アルキメデスやニュートンの例を持ち出すまでもないでしょう。結論からいえば、アイデアや発想は「呼吸がいつもとは変化しているときに出てくる」ということです。
よく、発想が行き詰まるといいますが、これは呼吸が同じパターンになってしまっていて、変化がないということなのです。
会議でも、意見が出にくくなって堂々めぐりに陥ることがあります。これは、呼吸がマンネリ化しているということですから、パッと呼吸を切り替えなければなりません。こうしたときに、小休止してコーヒーを飲んだり、タバコを一服したりするのは、呼吸が変わる、つまり発想を出しやすくするということで一理あるのです。
熱いコーヒーやタバコに共通するのは、フーフーと吹いたり、スーッと長く煙をふかしたりして、「吐く呼吸」が中心になるということです。それによって呼吸に変化がつきます。呼吸に変化をつけると、アイデアも出やすくなるのです。
ただし、忘れてはならない大前提があります。それは、呼吸に変化をつける前に、極限まで集中し、考えに考えぬいて頭を使いつくすということです。そのうえで呼吸に変化をつけると、アイデアが出てきやすくなるのです。
では、発想力強化のための「変化呼吸」をいくつか紹介しましょう。
変化呼吸(1) 強く短めに吐く
熱い食べ物を吹くときのように、「フーフー」と口から音を出すのがポイントです。イメージとしては、目の前に熱い飲み物や食べ物があって、それを冷ますようにフーフーと音を出しましょう。
「フーフー」で1回。
5~6秒間休んで、再び「フーフー」と2回目。
再び小休止して、「フーフー」と3回目。
これを1セットとしてください。この段階で呼吸が変わり、気分が変化したことを感じ取れると思います。
変化呼吸(2) 長く吐くことを心がける
たとえば、タバコを吸うことをイメージして、「フーーーッ」と長く煙を吐き出すように呼吸します。息を吸うことは考えなくていいのです。吐けば自然に入ってきますから、そのままにまかせます。
「フーーーッ」と極限まで吐く。同時に、肩の力を抜くことをイメージする。
小休止して、再び「フーーーッ」。
小休止後、さらに「フーーーッ」と3回で終了。
これを1セットとして、1日に3、4セット行います。当然、実際にタバコを吸うよりも健康的に呼吸を切り替えることができますし、アイデアも湧いてくるのですから、ぜひトライしてみてください。
変化呼吸(3) 7秒間呼吸を止める
変化呼吸の(1)と(2)は、おもに吐く息に変化をつけるものでした。でも、呼吸に変化をつけるのは、「吐く」「吸う」だけではありません。もう1つ、ヨガでいう「クンバハカ」(留息、止息)もまた、呼吸の変化には欠かせないものです。
呼吸は、1つのパターンでずっと続くわけではありません。吐く息が長くなったと思うと短くなったり、瞬間的に止まったり、急速に吸い込んだりというように変化していきます。血圧や血糖値と同じで、私たちが生きている以上、呼吸は一定ではなく、つねに変化しているのです。
呼吸法は、こうした変化を自分の意志でコントロールし、心身の状態をベストに近づけるスキルといえます。
あえて息を止めてみると、どうなるでしょうか。そのあとは、呼吸を整えよう、正常にもどそうとして、すこし呼吸が乱れますね。これも呼吸の変化といっていいのです。
どんな姿勢でもかまいませんから、「よし、息を止める」と意識します。このとき、ちょっと笑みを浮かべると、体から余分な力が抜けます。そのままゆっくりと心のなかで1から7まで数え、止め終わったら、フーッと大きく息を吐きます。
これは1回だけ行えばいいのです。発想が出にくいとか、アイデアがマンネリ化してきたと思ったときに、サッと実行してみましょう。
ただ、息を止めるのは体に無理がかかるので、血圧の高い人や心臓の弱い人などは、変化呼吸(1)、(2)で十分です。